「と、言うわけで、」

木野がにこっとキャラバンの皆を見回す。端から端まで行き渡って、もう一度一際輝いた笑顔を見せた。

「ななしのおなまえちゃんが、マネージャーとしてキャラバンに参加する事になりました!」

わっと沸き立った雷門生に若干置いて行かれながらも、新規で加わったメンバーが順におなまえに自己紹介をする。ちなみにずっと一之瀬はおなまえの隣だ。
それが面白くないのは浦部。挨拶もそこそこにさっそくおなまえへと突っかかる。

「ウチのダーリンとどないな関係かは知らへんけどな、ウチかてダーリンを諦められへんわ!」

「ダーリン?」

「せやせや!ウチの特製ラブラブ焼きを食べたさかい、ウチのダーリンや!」

「ラブラブ焼き?」

知らない単語に首を傾げるおなまえを見て、浦部は少しばかり動きを止めて凝視した。
通った鼻筋と深くしっとりとした瞳。長くウェーブのかかった髪。人形の様に整った相貌。浦部は悔しさと共に尊敬の念さえ生んだ。

「くぅ〜っ!いくらええ顔でもなぁ!ウチのラブでダーリンを振り向かしたるから!!」

「あ、ありがとう…?」

誉めたり喧嘩を売ったり、なんとも忙しい人だ。おなまえの浦部に対する第一印象だった。

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