零れた言葉はまるで雪のように解けて消え、残った虚無感にしばし虚ろだった。
あぁ、彼と遠い。
遠ざけたのは自分の言葉だと気づいてからは、また少し泣いた。
頬を伝う涙は温かいけど冷たくて、固い床に当たっては弾ける。小さな、大きな、輪になって。
「…一之瀬…っ」
もう彼は他人なのだと思い、思った自分を恨めしくも思う。嫌だった。
なんでそんな事言ってしまったのだろう。ただそれで良かった気もする。
一之瀬を私が縛り付けていてはいけないから。
旅ではたくさんの出会いがあるだろう。私には分からないけれど、陽気な彼だからこそ。
あの電話越しの女の子だって、そう…。
雨が私の部屋の窓を強く打った。
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