練習が終わり、夜になってからまた電話を掛けてみた。
きっと昨日はタイミングが悪かったんだ。そう言い聞かせて。

「おなまえ…」

バスの屋根の上から夜空を見上げる。
満天の星空とまではいかないけれど、星の綺麗な夜だ。まるでそう、呑み込まれてしまうような…。

『もしもし。』

待ち望んだ声が響く。

「おなまえ!」

『…一之瀬、』

「昨日はごめん!ケータイ取られてて、連絡が取れなくて…。でも、」

『一之瀬…、考えたの。…私たち遠くて会えなくて…何も出来なくて…』

小さく消えそうなおなまえの声を1つも逃さないように電話口に食いついた。次のおなまえの言葉を待つ。

『…で、お互いに行動を制限されてる所があるでしょ?だからこれっきりにしようと思うの。』

「それって…!」

『サヨナラ、一之瀬。』

昨日のあの通話とは逆で、おなまえから切られた通話だった。

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