嘲笑う敵。俺はその度に倒れ、また立ち上がる。
ダメだ。こんなんじゃ、ダメだ。
何度円堂に…チームのみんなに支えられたことか。
やっと勝てた試合に喜んだ。
ダメだ。まだ、弱い。
試合結果に喜んでも、また現れた次の敵。まだ続くこの旅。
おなまえに、遠い。
忘れられてしまわないだろうか。やっと気持ちを認めてもらえた矢先にこんな旅に出てしまって。何度か稲妻町に帰っても、何故か「忘れられていたら」と思うとおなまえの元へと歩が進まない。
そして不安は余計に俺を弱くする。
ふっと短く吐いたため息に、隣に座っていた土門が気づいた。

「どうした一之瀬。お前らしくないな?」

「あぁ、ちょっとね。」

「元気出せよ。今から敵の本拠地を探しに行くんだぜ?見つかればすぐに会えるさ、おなまえさんと。」

「…うん。」

拳を強く握って、前を向き直る。
バスが止まったのは、遊園地だった。

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