あれから彼は私に話しかけてはこない。
私が拒否したんだもの、当たり前。だけど…
心に強く感じる喪失感。
お父さんとさよならをした時のような、あの物足りなさ。

「バイバイ」

そんな悲しそうに笑わないでよ。
なんで、そんな事言うのよ。

「バイバイ」

嫌だ、行かないで。行かないで。
手を伸ばしても届くことはない。遠い日の私。幼い私と小さくなる父の背。
泣きながら目覚めた。寝起きが悪い。
ため息が零れる。
鏡の前に立ち自分の顔を見つめた。
お父さんが愛したあの人によく似ている。だけどあの人は、私を嫌う。
受け入れてはくれない。みんなそうだ。
みんなみんな私を見てない。
可愛い、綺麗、美しい。
みんながほしいのはあの人の遺伝子。
だれも私を見ていない。
愛なんて、遠い日にお父さんの背と一緒に‘さよなら’をした。
なのに…どうして今まであった愛が消えたと感じるの?

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