俺はもう何もかもおなまえに打ち明けた。昔の事故の話はずっと前にしていた為なのか、俺が話している間おなまえは特に疑問も文句も口にしなかった。かといって同情するようでもない。ただいつも通り、淡々と相槌を返すだけ。なんだかそれが心地よかった。
全てを話し終わると、おなまえは総括するように言った。

「許す。」

途端に俺は肩の力が抜け、楽になった。と同時に、本当におなまえは凄いと、そう思った。
これだけおなまえを蔑ろにしたのに、俺を許せるその心の広さたるや。俺も同じようにおなまえを包み込めるかと問われたら、正直自信がない。だって今まで俺がしてきた行為って、まるで相手が必要ないみたいじゃないか。勿論おなまえは大切な人だし、失いたくない人だし、‘必要ない’訳はないけれど、相手にそう捉えられても致し方ないような行動だった。おなまえは相変わらず、自信家だということだろうか。

「どうせ止めても無駄だから、私は余計な事言わないわ。」

おなまえが目を伏せて言った。それから「ただ、」と一呼吸おいて、フッと息を吐き出すように目を開けた。その一挙一動が美しくて、どれだけ眺めていても飽き足りない。やはり彼女は儚く、綺麗で、そして寛大だ。

「弱音なんか吐かないでよ。」

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