Clap
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「最近つまんないのよね」なんて残酷すぎる一言を言い放ったのは、紛れもなく自分の片思いの相手で。「え、それ、今チリちゃんとランチしてる時に言うんか…?」泣きそうなんやけど、と大袈裟に嘘泣きしてみせるが心はしっかり傷ついている。「だってチリちゃん以外、誰も遊んでくれないんだもん。チリちゃんだって毎日私のとこに来てくれるわけじゃないし。」「堪忍なぁ、今ちょうど宝探しシーズンやからチリちゃんも暇やないんよ」それでも無理矢理時間を作って出来る限り会いに来てるつもりやけど、なんて思いつつ言葉にするのはやめておいた。「この前グルーシャにわざわざ会いに行ってあげたのに、今は忙しいから出直せって怒られちゃった。」「えっ」グルーシャに会いに行った?チリちゃんとこには自ら来るなんてしたこともないのに?思わず目をまんまるくすると、彼女は「何その変な顔」とくすくす笑う。「…や、面識あったんかと思って…」「雑誌かなんかで見て顔が良すぎて会ってみたくて。最初は門前払いだったんだけど、通ってたら一緒にピクニックするくらいまでにはなれたの。相変わらずつれないことが多いけど」「なんやて」一緒にピクニック???あのグルーシャと???「それ…は、えらいこっちゃやな…」このコミュ力おばけめ。と彼女を見てしまう。自分が知っているグルーシャの性格からすると二人の距離はえらい近い。いや、もしやなんか恋だの何だの生まれてるんとちゃうか?それは一大事だ。気持ちを伝える気がないとはいえ、彼女に恋人なんて作られたらたまったもんじゃない。(くそ…油断しとったな…)宝探しがはじまって、必然的にどこもかしこもバタバタするからと手を抜いていた。自分の知らない交友関係があるだなんて想像もしていなかった。「…チリちゃんすごい眉間に皺寄ってるけど大丈夫?美人が台無しよ」「っ、」色々と考えている間に、黙ってしまっていたようだった。不意に眉間に触れられてびくっとしてしまう。「スマン、ちょっと考えてもうてた…」「四天王は大変ね」「や、それとはちゃうくて………自分さっき顔が良すぎてって言っとったな?こんなにべっぴんさんが目の前におるのにまーだ物足りないんか?」「ふふふ、チリちゃんの顔がいちばん好きだけど」「…けど?」

「私のにならないんじゃつまんないもの」

ヒュッと喉が鳴った。(え、今、なんて?)「チリちゃんが私のになってくれるなら話は早いんだけど」目の前にあるのはにこにこといつもの笑顔。どういう意味か、言葉通りの意味か、と思考を巡らせているが一向に結論が出ない。(なんて返すんが正解?)(からかわれてるんか?)と黙っていると、その様子を見ていた彼女はさっきよりも楽しそうに笑う。「ねえチリちゃん、好きって言ってくれなきゃずーっとこのままよ」「!!!!」がつん。言い放たれた言葉に殴られた気分だった。(もしかして気づいて、)返す言葉を探している最中だともおかまいなく、目の前の彼女は時計を見て「あ、休憩時間終わっちゃう」なんて言って立ち上がる。「じゃあねチリちゃん。またランチしましょうね」と手を振られ情けないことに何も言えないまま、その姿を見送ってしまった。



「…あかん、もしかしてチリちゃん、チャンス逃してもうた…?!」
ハッと我に返ったのは、何分ほど過ぎてからだったか。





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