4人
「お休み、取れて良かったですねー」
以前4人で行った旅行では、友人との休みが合わずに。
結局一泊二日で近場の温泉になった背景があるだけに。
連休が確定するまでずっと心配してたらしい。
行けると決まった日から今日までに、何度か聞いたカイトの台詞に笑って。
振り返ったときにはもう、友人の肩に凭れて落ちてた。
「早、カイト寝てる」
「え?あ、ほんとだ」
そろそろ片付けるかとアカイトに声を掛けた途中で苦笑する。
「あ、だめだあの子も落ちそう」
「なんだあの体勢。器用だな」
ついさっきまで意欲的に火を点けては、はしゃいでたのに。
いつの間にか消えてた蝋燭の前で、点いて無い火種を手にしゃがんだまま固まってた。
付近の庭でも同じく花火をやってるところがあるらしく。
ちいさな子供の声が微かに聞こえるような時間帯ではあるけど。
「おまえは予定を詰め過ぎなんだよ」
当初の日程に含まれてた川釣りはともかく。
午前にカイトと行ったらしい散策で、見つけてきたテニスコートも借りたのは、やっぱり過密スケジュールだった。
「えー楽しかったよなぁ?」
カイトを背負った友人が笑って同意を求めたアカイトは、頷いたような気もするが。
こちらに手を引かれてやっと歩いてるような状態じゃ、ちゃんと聞いてたかは怪しいけれど。
「ほらなーあっ冬はスキー行こうスキー」
前向きに捉えたらしい企画王が気の早い計画を立てたその背で。
「おれ、俺も、行きます…」
どこか置いて行かれると思ったらしいカイトが目元を擦って夢現のまま返事をするのに笑った。
end
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