4人
「あいつらもう起きてる…」
休日にしては早い時間に目が覚めたのに。
微かに聞こえた話し声にまさかと思って。
寝室の窓を開けて覗いた階下には、カイトとカイトのマスターが見えた。
テラスに野鳥でも飛んで来るのか、リビングの窓際に並んで座ってパン屑か何かを投げてる。
会話の内容までは聞こえないけど、時折なにか話して笑う。
ふたりを取り巻く空気はゆるく、いつもと同じに見えたのに。
唐突にキスした。
「…アカイト?」
「!!」
背後から掛かった声に大袈裟なくらいびびったのを訝しまれたのか。
いつの間にか起きたらしいマスターが制す間もなく下を覗いて。
「いま何時?」
ひとの頭を撫でると脈絡のないことを聞いてくる。
「…9時前」
「じゃあ昼まで寝よう」
「えっ釣りは?」
午後からでも行けるよ、とか笑った奴に引き込まれるままベッドに戻って。
「あいつらだって邪魔されたくはないだろ」
最初に受けたキスの意図も、寝ようの意味も、分かってたのに。
拒めなかった時点で結局流された俺にも多少の非はあるのだけど。
「あーやっと起きてきた」
「ふたりとも遅いですよー」
あまりにも暢気な非難を浴びたリビングで。
「おまえらの所為だろ!?」
「「え…っ」」
思わず返した非難に呆けたふたりを見るなり、後から降りてきたマスターが笑った。
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