4人
「おまえばっかずるい」
リビングに面したテラスでBBQも可ときたら、やらないわけにはいかないだろうと。
顔見せがてら実家から取ってきたコンロの向かいで、アカイトが不満げな顔をした。
何のことか分からずに呆けたのは数秒で、ああそうかと腑に落ちて笑った。
「ほら…代わるから」
好きなだけ焼きなさいとトングを手渡す。
彼の目には給仕側も魅力的に映ったらしい。
「網熱いから気を付あーそれまだ早」
「あ〜もーおまえはうるっせーなー」
「ああ、これはもういいんじゃないか」
「どれだよ」
横槍を邪魔くさそうにしてる割には素直に従うあたりが可笑しい。
無事に焼けた肉と野菜を紙皿へ移した子が届ける先は彼のマスターだろうと。
「えっアカイトが焼いたの」
見守ってた予想に反して、カイトだったらしく。
「すごい!上手!」
「あれ?俺には?」
「えー」
カイトの向かいで笑った友人の要求に、アカイトは仕方ないなって声を出した。
あれだけ手放しに絶賛されたら、そりゃ自信もつくだろう。
一番褒めて欲しい相手にちゃんと渡せる助力を惜しむつもりは勿論無いけど。
得意げな顔した子が足取りも軽く、こちらへ戻って来る前に笑っておいた。
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