おまけ
2つめと3つめの間です
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「俺、混ぜてやろうか?」
既に袖を捲くったアカイトが生き生きした顔をするから。
「お願いします」
じゃあ俺は固定係に就こうかと、笑って食卓のボールを押さえた。
「それ捏ねたら4つにして」
スープの鍋を見てたひとから届いた指示に頷いて。
覗いたハンバーグの種はそろそろいい感じなんじゃないかな。
「形は?楕円?」
「ハートは?」
「えー」
折角だからいつもと違った形にしたいと思ったんだけど。
嫌そうな顔をしたアカイトと熟考の末、楕円で並べた。
トレイを持って行ったカウンター内で笑ったひとに後を委ねる。
「あれ、ハート止めたの?」
「割れちゃうのやだから…」
フライパンを用意してたアカイトのマスターが瞬いて、鼻先を掠めるバターの匂い。
「おい、聞いたか?何だこの子可愛い」
「あーっおまえ何やってんだ」
唐突に抱きしめられた背後からアカイトの怒鳴り声が飛ぶ。
「カイトに触んな!」
「いて、おまえ油手で殴んなよなー」
手洗ってください、と流しの水を出したひとに解放されたシンクの前で。
「食うとき割れるだろって」
アカイトが教えてくれたんですよと告げた補足に両隣の空気が一拍止まった。
「…ちがっ違う煩いそういう」
意味じゃないとか顰めた目元を染めたアカイトが直ぐに怒り出したけど。
「いやまだ何も言ってないだろ」
彼のマスターにつられて俺も笑った。
end
調理中が見たいって言ってくれた方へ!
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