4人
『甘いからやだ』
ってアカイトの一言で、真っ先に南瓜料理が除外された。
そもそもどちらの家にも常備されて無かった段階で、ハロウィンらしさは暗礁に乗り上げたかと思ったけれど。
「おまえ器用だよなぁ」
マスターの感嘆に同意した食卓の一席で、隣の携帯画面を覗き込む。
ジャックランタン型のチーズが溶けたハンバーグは上手く撮れてるし、実際美味しかった。
「こういうのどこで覚えてくんだ?」
「それはグーグル先生」
「あのひとなんでも知ってんなー」
食後に淹れて貰った珈琲に口を付けてマスターが言うから。
どなたですかって会話に入るより早く、検索、とアカイトが呟く。
「…しただろ」
最初にって返った声は小さく、瞬きも多い。
「アカイト眠い?」
「あーほんとだ」
その辺で寝る顔だって苦笑したひとの肩をはたきはしたけど、反論する気力は無いらしく。
顔を顰めただけで終わったアカイトに笑って、送った視線にマスターが頷いた。
「じゃあ俺達帰るから」
寝かしてやって、と上着を取ったひとに倣って俺も席を立つ。
「遅くまでお邪魔しちゃってすみません」
「ご馳走様」
「いや、そうだおまえお礼は?言った?」
見送りがてら寝室に連行されてたアカイトが、ぼんやりと瞬いて首を傾げる。
「おばけ、貰っただろ」
「あーいいよ俺が勝手に」
「ありがと」
「ど…どういたしまして」
たどたどしいお礼が返った玄関先でマスターと思わず笑った。
Happy Halloween!
[戻る]
[歌へ戻る]