4人
「おーお疲れ」
遅かったなぁと出迎えられた友人にただいまを返して。
促されるまま上がりこんだ玄関先でネクタイを緩めた。
「俺んとこ、今風邪流行っててさー」
「なに、欠員?」
頷いて直ぐ、返った笑顔に揶揄が混じる。
「おまえ流行に疎いもんな」
「おい、風邪の話だよな?」
前を進む奴の背を手持ちの鞄で殴って向かった室内に、双子のおばけが見えて笑った。
「どっちがカイトでしょう」
正解者には夕飯が、と友人が指したダイニングテーブルで待機中の食器に瞬く。
「うそ、まじで」
昼から何も摂れてない。負けられない戦いがここにある。
ネサフの果てに見つけたタオルのおばけは全く同じ表情だけど。
「右…だな、俺から見て右!がカイト」
「わーなんで分かったんですか」
「ヒント、アから始まって」
イで終わる…と言って直ぐ、顔を出したアカイトが手を挙げる。
「あたまがわるい?」
「あはは」
「何でだよ。二文字です」
「あほ?」
「うん…イ、どこ行った?」
キッチンカウンターの向こうから聞こえた家主の失笑は頂けないが。
タオルを取ったカイトの頬が真っ赤だった時点で全てが飛んだ。
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愛があれば分かる青赤
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