赤と青
「トリックオアストリート!」

呼び出された隣人宅の玄関先で、タオル製の半ゴーストに恐喝された。

半というのは上だけで、下は普通にジーンズの脚が見えてるからだ。

「…。」

「ごあー」

それは鳴き声でいいのだろうか。

「…あれ?アカイト、ハロウィン知らな」

「知ってるよ!顔どこだおまえの」

「ここが鼻でーいたっ」

波打った口と縦長の黒目がプリントされた少し上、中身の額らしき場所をはたく。

「大体、ストリートって何だよ道か」

「あー違った間違えたトリートだった」

「おまえまさかこの為だけに呼んだんじゃ」

「見て!これ!可愛いよね?マスターに貰ったんだー」

「いや聞けよ…」

とは一応言ったけど、被っていたバスタオルを脱いだカイトが満面の笑みだった時点でほぼ諦めた。

この顔をしてるときはもう、何を言っても同じだ。気が済むのを待つしかない。

「ちゃんと手も付いててー見てほら見て」

「おーすごいなー」

早々と聞き流しに入って、勝手知ったる以下略で上がった室内を進む。

「おまえは?」

「ココア!マシュマロ入れたい」

「どこだよ」

ケトルの水を沸かしてる間も、ドリップ式の珈琲とココアの缶と浮かべる菓子を探ってる間も。

終始付き纏ってたカイトの姿はいつの間にか消えていて。

湯気が立つマグカップを両手に向かったリビングで、ラグに腰を下ろした瞬間視界が翳る。

「アカイトのもあるんだよー!」

「おわああ!」

「わああああっ」

背後から被された布地にびびって上がった声にカイトがびびって腰を抜かした。

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