4人
日記で言ってた夢の国ネタです
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ものの数分で終わるアトラクションに、乗るまでの時間が半端無い。

話として聞いた限りじゃ、好き好んで並ぶ心理を理解する気も起きなかったけれど。

実際には、案外待てた。

一貫した世界観に呑まれた所為もあるけど何より、
日取りが良かったのか意外と空いてたのが大きい。

それでもメインの箇所には列ができてて、予測待ち時間は30分を前後していた。

洞窟風の順路は暗くオイルランプに見立てた暖色の灯りが浮かぶ。

前に並んでたカイトと不意に目が合って。

たった今隣の奴にやってた様に、口元へ運ばれた指先から顔を背けた。

「おいしいよー」

「おまえのそれ甘いだろ」

はじけさせた後に加えるひとつで食えるものも食えなくなる。

カイトが首から提げてるバケツは、マスターに預けた俺のと同じデザインだけど、中身は違うワゴンの物だ。

「カイトの何だっけ」

「チョコ。普通に美味いよ」

隣で上がった問いに、斜め前から答えが返って。

俺が拒んだポップコーンをカイトに向けられたマスターは少し屈むと口を開いた。

うわぁ…と零れた感想は尤もだと思うけど、前のふたりには納得がいかないらしい。

「だめだ、あいつらにはやるな」

「俺、無意味の意味を理解しました」

「カイトは賢いなぁ」

こちらとしても平和的な結論が、いつも通りあほらしい展開へ逸れるのを聞いてたのはそこまでで。

口直しをしたいのか、俺のバケツを開けてた奴に気付いて腕を引く。

目が合って直ぐ開いた口に運ばれたものは、届く手前で戻ってそのまま食われた。

「いて、なんだよ」

「なんだよじゃねぇだろ!」

くだらないことすんなと訴えた抗議にマスターが笑って。

新たに摘んだ一粒をこちらへ寄越すと意味深な顔をする。

「ほら『はやく入れて』は?」

「…。」

降った言葉の意味が呑めずに呆けたのは数秒で。

「いった!なに、どうした?」

「こいつが!あほな…あほなこと言うっ」

急速な熱が顔へ集まる頃には、カイトの隣を咄嗟に殴って叱咤を委ねた。


end
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