4人
「アカイトがポチ公好きなのってさ…」

ふたりが置いて行った祭りの景品を眺めて。

カイトに似てるからだと思う?と呟いた友人に、まぁだろうなぁと笑った。

「ちょっとは悔しい?」

学生時代と同じような笑顔が返る、けど。

もしや、さっきのあれとかそれに対する仕返しのつもり、だとしたら温いなぁ。

「おまえはそのままで居たらいいと思う」

「は」

まぁ飲みなさい、と開けてやった缶ビールを手渡して眺めた屋台の向こうに。

見えたふたりの手には、渡した金額以上のものがあるような、気がする。

「マスター花火!貰った!」

「え、誰に」

「煙草屋のおじさんがお店出してたんですよー」

矢継ぎ早にふたりから譲渡品と提供者を次々説明される、けど。

「…おまえ、覚えた?」

「たこ焼きが魚屋さん、ってとこまで…」

「違う、違いますイカ焼きが魚屋さんです」

町内会主催の夏祭りに伴う危険性を知った。

「お礼は?言った?」

聞いて直ぐ良い返事がハモるけれど。

挨拶に回るべき、だよな…?って意味を籠めた視線を流すと苦笑した友人が頷いた。

おまえはとりあえずそっち覚えろ、と指されたノルマに大人しく向き直る。

「悪い、もっかい説明して」

「だからー」

仕方ないなって顔したアカイトは口を尖らせたけれど、それでも楽しそうだから。

苦手分野の近所付き合いも多少はまぁ頑張ろうかと意欲を出した。


end
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