4人
「ああ、ほらもう濡れてる」
遊動的な対象は専門外だから、黙っていたけど。
「焦んないでいいから、落ち着いて」
ゆっくり入れれば、とカイトの手を取った友人の手を思わずはたいた。
「いった、なんだよ」
「おまえ!わざとだろ!それ!」
なんかこう、いかがわしいんだよ!とまで口にするのは躊躇ったけれども。
「マスター金魚、逃げちゃいますよ」
「すみません」
「あ、カイト、そいつ」
取れそう、とアカイトが指差した金魚的には無事、と言えるか微妙だけど。
でもまぁ屋台の水桶に居るよりは、うちに来た方が大事にしてやれるから、やっぱ無事に。
「取れました…」
嬉しそうに笑ったカイトが掲げた小さい水袋の中で、泳ぐ姿を眺めて俺も笑った。
「名前、つけないとな」
「じゃあ…赤いからアカイトで」
「あはは」
「ちょ…っ」
前を歩いてた友人が吹いた隣で、止めろ!と振り返ったアカイトが怒るから。
「夜店のだからあんまり長生きは難しいかもな」
「え!じゃ、じゃあ違うのにします…」
軌道は修正しておいた。
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