nowsnow
「外、行きたいのか?」
さっきからそわそわと窓際へ行ったり、戻ってきたり、また行ったり。
視界の中で落ち着き無く、繰り返されたら誰でも気づくと思うんだけど。
「な、何で…」
分かったんですか、と数度瞬いたカイトは何やら嬉しそうに振り返って。
「愛ですか?」
随分とまぁ陽気なことを言ってくる。
「そうかもな」
なんて笑い返してやったのは、テンションにつられたとしか言えないのだけど。
「…あ、あした、も雪ですかね」
なんで今更照れるんだ。おまえが振ったんだろ。浮かれすぎだ、というか失礼だな。
「今日だけで充分だ…」
外れて欲しい天気予報ほど良く当たる気がするのは気のせいか。
早朝から降り始めた綿雪は昼を過ぎた未だちらちらと舞い積もって。
不意打ちに弱い都心の交通機関を麻痺させたりする。
雪が降って喜ぶのは無邪気な子供と犬だけだと思うけど。
カイトはそのどちらにも分類できる気がするから、嬉しいんだろう。
「…コンビニ行くかー」
「!俺、俺も!行きます…!」
「置いてかないから、落ち着け」
少し遠回りして行けば途中で小さな公園を通る。
手放しにはしゃぐ姿が見れるなら。
直ぐに溶けて汚れる都会の雪も、まぁ悪くないかと思えて笑えた。
end
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