4人
「おまえほんと…」
いい加減にしろよ、とダイニングから届くマスターの声に身が竦んだのは俺だけらしく。
「カイトを巻き込むなって言ってんだろ!」
「巻き込んでないよ」
仲間に入れただけで、と笑ったアカイトのマスターはいつも通りで。
やっぱりいつも通り、ソファに寝転がってるアカイトは俺越しにテレビの局番を替えた。
「みんなの興味がひとつになった結果だろ?」
「おまえその良い話風に言うの止めろ!」
こじれてるとしか思えないやり取りに慌てたのもやっぱり俺だけらしく。
隣にあるアカイトの頭を揺すってみても、どうした?って視線を返したくせに。
「まあ回答は残念だったけど…」
「ほんとに…残念だったな…」
「アカ…っアカイト!」
なんでそこで便乗するんだ。
「え…そんなに残念だった?」
「マスター!折れちゃだめ、で」
いや、この流れなら丸く収まるんじゃ…なんて躊躇ったのが間違いだった。
「ほら、カイトも評価に悩んでるし」
「ちが、違う違います違うのでもっとがんばってください」
「あはは」
「…応援ありがとうございます」
慌てすぎて足した言葉に吹いたアカイトのマスターの向かいで、マスターも笑って。
精進しますとか頭を下げたりするから。
「違うマスターえっとそうじゃなくて」
「カイトもうその気持ちだけで…俺は充分だから」
「マスター!待って、あのだから」
「あ〜アカイトそこで寝んなベッド行きなさい」
ますます混乱して泣きたくなってきた俺の隣で、健やかな寝息が上がった。
end
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