赤と青
「冬と夏、どっち?」

カイトがまた妙な遊びを仕入れてきた。

「…秋」

「無い!選択に無い!」

返る不満の声を耳に、寝転がったソファからテレビのチャンネルを替える。

さっきからエンドレスで続く二択はカイト曰く。

選ばなかった方は一生断つつもりで、って前提があるらしいが。

つもりって時点でホントに断つわけでもなければ、
断とうと思って断てるもんでもなかったりするから。

やっぱり単なる二択の何がそんなに楽しいのか、俺には永遠の謎だ。

けれど近所の小学生とこいつには、熱くなる要素があるらしく、一向に終る気配が無い。

「あ、じゃあ次俺な」

「な、なに?」

この流れを打ち切るべく、入れた横槍に嬉しそうな声が上がった。

「アイスか」

「アイス!」

「いや…待て」

いつから早押しになったんだ、と枕にしてたクッションを叩かれて身体を起こす。

「あいつだったら?アイスかマスター」

なるべく時間稼ぎになりそうな二択、ってだけの意図だったのに。

「え…」

「え?」

意外そうに瞬いたカイトがまじまじと俺を見るなり、
無駄に頬を染めて姿勢まで直しだしたりするから。

「あ…えっと、マ」

「いや!いい、分かった」

らしくない選択をさせた気がしてこっちまで妙な気恥ずかしさに襲われた。


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