live the life
わんわんのふたりのような
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「ラーメン、がいい」

メイトのその言い方がどこかぶっきら棒で。

なんとなく、ちいさい子供が照れてるみたいな舌っ足らずさだったから。

「…何?嫌ならピザでもいいけど」

隣に座る横顔をまじまじと凝視してたら、怪しいひとを見るような視線を返された。

「いや、いいよラーメンで」

慌てて床に散乱したデリバリーのメニューから中華屋を探す。

「メイトどれにすんの」

「そうだな…」

手渡した冊子を見送って、品書きを眺めるメイトを眺めた。

なんとなく。だけど。

メイトは我儘を言うのが下手なんじゃないか、と予想してみる。

というか、何かにつけて俺に合わせてくれることが多いから。

甘やかすのに慣れてばかりで、甘えるのに慣れてないのかもしれない。

「あのさ…さっきのもっかい言ってみて」

「は?」

「ラーメンがいいって」

「…ラーメンがいい」

「ちがう!!そんなんじゃなかった!」

なんかこう、もっと可愛かった、と力説してみたけれど、煩いと品書きの角で殴られた。

「俺、これにする。おまえは?」

「チャーシュー麺」

「電話してくる」

腰を上げたメイトに、大盛りで!と付け加えて、確認した時刻は丁度夕食時だ。1時間は待たされるかもしれない。

「今、忙しいからちょっと遅くなるって」

予想通りの吉報に、ピザにしなくて良かったと思う。

「あの…先にメイトが食いたいんですけど」

「…どの流れでそうなった?」

不可解を滲ませたひとは呆れた顔をしたけど、だめだとは言わなかったから。

素直に甘えることにして掴んだ手を引き寄せてから、これがいけないのか、と気づいた。

けれど、今更止まれない。

余裕とか、そういうのは、もうちょっと大人になってからの楽しみに取って置こう。

なんて前向きに考えて結局は今を謳歌することにした。


end
live the life
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