右か左か
なぞなぞ!のふたりのような
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「マスターマスター」

カイトが現れた。Lv.23
装備、まだ確認できず。

「ちょ、ちょっと待って」

「はい」

作成してた企画書のキリのいいところまで打ち込んでから。

「…はい、なに?どうぞ」

顔を上げて眺めたカイトは俺の真横で、握った両の拳を前へ掲げた体勢で固まっていた。

「あ、えっと、どっちがいいですか?」

装備『気の抜けた笑顔』

を向けられた俺までも力が抜けて笑い返した。

「なに、なんか入ってるの」

「どっちかひとつ、です」

左右の拳を見比べて見るけれど、特になんの違いもない。

「じゃあ…」

こっち、と告げる前に右手の甲へ視線を流すとカイトが小さく、えって言った。確かに聞こえた。

「ど、どっちにしますか…」

選ばせといてなんでそう不安そうな顔をするんだ。

「…左、でお願いします」

誘導された正解を告げた途端に、ほっとした笑顔が返る。

「はい、どうぞ」

広げられた手のひらに、個別包装のチョコレート。

「疲れたときに甘いものを摂取すると」

疲労回復の効果が云々、と続く説明はどこかから丸暗記してきたんだろうか。

ありがたく頂戴した品を手にして、その感触に思わず笑った。

いつから、握って待ってたんだ。

「選択、変えてもいい?」

「えっ」

「やっぱ真ん中に、します」

それが一番効果的だと、掴んだ手を引き寄せた。


end
アカイト版こちら
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