おまけのマスカイ
快楽を上手く逃す術を知らない身体は溺れ易く。
舐めれば溶ける冷菓みたいに、どろりと潤う先端から根元まで。
掻き下ろす度に上がる声は涙を増して、火照った頬も濡れた目元も。
危ういな、と思う。
早い内に訳の分からないところまで飛ばしてやりたいのと、
指でも舌でもなんでもいい、俺の持つ何かを、カイトの記憶に焼き付けたいのがせめぎ合って。
優しくしたいと思うのに、めちゃくちゃにもしたい。
「参ったな…」
危ういのは俺だ。
「爪、立てていいから」
頬を撫でた片手でカイトの手を握ると縋るような視線が返る、その瞳に微笑めたかどうか。
不安げな視線を感じながら、唇、鎖骨、脇腹、と順にキスを落として。
潤む先端は舐め取ってから口に含んだ。
「あっ、あ、あ…!」
声に混じる怯えの色や、跳ねた身体は、扇動にしかならなくても。
ぎゅっと握られた掌に零しかけた感情を取り戻して、酷い事はしないと握り返した。
舌で包んで根元まで、降りてまた昇る、をゆっくりと繰り返す。
「っん…あ、あ……っひ、うぅ」
咥内も、外も、慣れない刺激にびくびくと震えていて。
粘ついた音ばかり耳は拾いたがる。カイトもそうだといい。
今夜限りで終らす気なんかさらさら無い。
何も知らない身体なら、非常識も常識だと教えてしまった方が、後々互いの為になる。
口を離した先から零れ落ちる雫を指で掬って、そのまま奧へ塗りつけた。
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