おまけのマスカイ
「ん、ん…っは、ぁ…っ」

上気した肌を辿って気紛れに吸う、ただそれだけの動作でも。

素直に乱れていく息は可愛いし、びくびくと敏感に跳ねる身体は愛しい。

肌に色を残すことばかり夢中になっていて。

「ひ、…ぁっマスタ…っ」

構い過ぎて粒になった胸の先を食んで軽く歯を当てたときにやっと。

呼ばれる声に涙が混じり過ぎてることに気づいた。

片手をついて上体を起こすと揺れた瞳が懇願めいた色を含んで。

何か言いたくても言えない、そんな顔、されると言わせてみたくもなる。

「なに」

汗で湿った額の髪を梳いてやって、答えを待つ。
カイトはもうちょっと、思った事をはっきり言った方がいい。

言われたらなんだってしてあげるのに。

「〜…っぁ、えっと…」

「うん」

震える睫に乗った雫が淡い灯りに瞬いて、落ちる前に吸い取った。

「言って、…どうされたい?」

熟れすぎた頬や耳を可哀相だと思う。だけど折れてやれない。

こちらが求めるだけ、求めて欲しいと思うのは贅沢だろうか。

なんて、胸の内が何かカイトにも伝わったのか、覚悟を決めるみたいにぎゅっと瞳を瞑った。

震える手に手を取られて、孕んだ熱へ連れて行かれる。

「…っさ、わってくださ…」

声は消え入りそうで、ぐすっと鼻を啜る音に言わせた事を少し後悔、しても遅いんだけど。

「…多分、もっと泣かしちゃうけど」

好きにしていい?と直接耳へ吹き込むと真っ赤な顔でコクコクと頷かれる。

「お、俺…っよく分かっなく、て」

「うん」

「…ちゃんとできな、かも」

「うん」

「う、まくいかな、くても嫌いにならな、ですよね…?」

しゃくり上げるようにカイトが言うから、衝動的に口付けた。

今胸を占めたのは欲情ではなく愛情のほうだと思う。

募るばかりで限りが無い。

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