DOALA
これを貰って書いたマスカイ
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「わあ、可愛いですね」
予想外の歓声がカイトから上がるから。
「…え、可愛いか?」
それ、と先程ソファに放ったままだった人形を確認した。
眉を下げて曖昧な笑顔を称えたコアラは某野球チームのマスコットで。
飲んだ帰りに立ち寄ったゲーセンで、同僚が取ったものを寄こしてきたのだ。
「可愛い、ですよー」
あんまりにも可愛らしい笑顔でカイトが褒めるから。
「でもそれ中身おっさんだぞ」
何となく悔しくなって告げた言葉に無垢な瞳が瞬いた。
「中身…」
「…いや、中の人は居ない、けど…」
純粋な眼差しに耐えかねて事実を濁すと、中の人ってなんですか、と問い返される。
「いい、何でもない」
気に入ったならあげるよ、とネクタイを解いて。
「え!いいんですか」
相変わらず大袈裟な反応に頷くと嬉しそうな笑顔が返る。
カイトが喜ぶならコメントに困る人形も可愛いと認めようと思った。
ついでに、明日同僚に礼を言おうと思った、あたりで。
「…これ、何となく俺に似てませんか?」
「どこが?!」
求められた同意には全力で否定した。
「えっ、えっと色、とか…」
いや、うん、確かに青い、けど。
今まさに似たような表情をカイトがしてるけれども。
「おまえのがずっと可愛いだろ!」
何言ってんだ、止めてくれ、比べ物にならないだろ、とひとしきり訴えたところで。
「…お、俺のが可愛い、です」
「わかればいい」
真っ赤になったカイトが勢いに押されたまま頷いた。
おわり
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