メイトとミクオ
「貴方の不毛な恋愛度は98%」
既に受けていたダメージに追い討ちをかける声音が降った。
「陥りやすい恋は『いつまでも成就しない恋』…」
ノート型のPCを覗いたミクオが画面内の文章を読み上げる。
「当たってるね」
向けられた微笑みを寝転がってたラグから見上げた。
「…おかえり」
「ただいま」
買って来たよ、と差し出されたスーパーの袋を受け取って。
「ああ、ありがとう」
「なに、随分自虐的な事してるね」
キッチンに向かう背後から掛かった声に苦笑した。
見ていた頁は心理テストや占いなんかを置いてるWebサイトで。
俺が自ら『不毛な恋愛度』を選んだところが、自虐的、なんだろう。
返す言葉も無い。
「…マスターが振られたらしい」
そのサイトが引き金で、と足した言葉が興味を惹いたらしく。
「なにそれ」
マウスを弄ってたミクオがこちらを向いた。
「相性が、悪いから別れようって…」
言われて。
『納得したら殴られたんだけど。何でだ』
と片頬を腫らしたマスターが帰ってきたのはついさっき。
「…冗談を真に受けたってこと?」
あのひとらしいね、と続く呆れ混じりの失笑にまたも返す言葉が無くて俺も笑った。
「で、マスターは」
「急にバイト入ったって」
「…ちょっと待って」
ポトフの予定だった鍋を水で薄めて買って来て貰ったルーを落す。
「カレーがいいって駄々捏ねたのあのひとじゃない」
「あーごめんな」
急がせたのに、と振り向くと何か言い掛けたミクオが眉を顰めた。
「…メイトがコレ、」
やるなら許してやってもいいよ、と口を尖らせた幼い表情に笑って。
「なに?」
促されるまま覗いた画面の中で、『貴方が弱い言葉責め占い』にカーソルが止まった。
end
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