call on call!
「ずるい」

部屋のドアを開けるなり、
マスターが斜め掛けのショルダーバッグを放った。

寝転がって本を読んでたベッドの真下で、がしゃっと中身がぶつかる音がする。

「…何が」

おかえりを言うべきか少し迷って、でもただいまを聞いてないからいいかと省いた。

「あいつに自慢された」

マスターはカイトの事をあのコと呼ぶから。

あいつ、と言われて思いつくのは、
マスターと全く同じ顔をしたカイトのマスター。

こいつと同じ日に生まれた兄弟の事だろう。

「あたまの出来を?」

「ばか、今更そんな事自慢するかよ」

眉を顰めるマスターに笑って、話を聞く姿勢を見せるべく、上体を起こす。

体の造りも、流れる血も。
同じものを持っていても能力には差が出るのか。

とにかくこいつの片割れは出来すぎていた。

マスターに勝るところがあるのなら、それにコンプレックスを感じるどころか。

優秀な兄弟を持つ俺は凄い、と変換出来るポジティブさだと思う。

そのこいつが自慢されて憤る内容に、単純に興味が湧いた。

「あいつさ、カイトに」

「うん」

「毎朝、行ってらっしゃいのちゅーして貰ってるって」

俺が馬鹿だった。

「というわけで、おまえに相談が」

妙に真剣な顔をしてるこいつはもっと馬鹿だと思った。

「あ、待て、アカイト!」

「うるせー!はやく寝ろ!」

頭も弱ければ朝も弱い。
おまえの起床から家を出るまでの間なんてのは嵐みたいなもんだろ。

そんな暇、無いじゃないかと溜息混じりに部屋を出て。

勿論朝にも隙の無いあいつの兄弟に、目覚まし役を頼むべく隣室へ向かった。


end
募マス箱より「双子で、それぞれがKAITOとAKAITOの」マスターでした。
マス赤側だけになっちゃいましたが、双子設定たのしいですね!
寄付して下さった貴方様へ捧げます。ありがとうございマスター!^^

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