4人
「全くおまえらは目を離した隙に…」
どこほっつき歩いてたんだ!と。
再会するや否や、何故か俺たちがアカイトに怒られた。
「これも計算内?」
「いや、これは計算外だった」
カイトに泣き付かれてる友人が寄こす苦笑に同じものを返す。
合流したのは小さい社で、本堂の裏手にこんな場所があったなんて初めて知った。
日も暮れてきたというのに相変わらず賑やかな向こうとは、隔離された感じがする。
「もう何かお願いした?」
聞いた問いに、濡れた頬を上げたカイトが笑って。
「もういっこ叶いました」
「カイト!」
遮るように制したアカイトが焦ったような顔をするから。
大いに気になるとこだけど、もう何の保険も掛けてない。
ここで煽って逃げられたら大変だ、と思ったのは友人も同じらしく。
「じゃあご利益があるらしいってことで」
「らしい、じゃなくてあるんですよー」
深く追求するのは止めて、カイトの手にも小銭を渡すと早々と賽銭箱へ投げた。
眼下には未だ剥れた顔のアカイト。
「賽銭は25円がいいらしいよ」
重々ご縁で、と笑って握らせた硬貨はつき返されない。
何か言おうとして止めたアカイトは、拗ねた顔のままだけど。
素直に投げた小銭が木箱へと弧を描く。
この子の機嫌も幸せも俺がどうにかしてやりたい。
貴方は邪魔しないで下さいねと祈ったら、
やっぱりバチが当たるだろうかと苦笑して、鳴らす鈴の音を聴いた。
end
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