1月1日
day by dayのふたりのような
*****************


大晦日とか元日とか。

言い換えれば凄く意味のある日に思えても。

結局は今日と明日、
過ぎてしまえば昨日と今日だ。

今を特別だと思いたいのは、
過ごす相手を特別に想いたいからだと思う。



唐突に思い立ったことだったから、空はもう白み掛けていて。

路上に降りる頃には既に、逆光を浴びた建物が黒い影になっていた。

「…すごい、ですね…」

その闇を呑むように、射す陽が次第に強くなる。

「元旦、だから…?」

「…元旦、だから」

感嘆と一緒に零れる発想が可愛らしくて笑った。

カイトの頬が赤いのは、肌を刺すような気温の所為だけじゃなく。

珍しく感情が昂ってるのかもしれない。

食い入るように昇る日を追っていた瞳が、こちらに上がるまでに、短くは無い時間を要して。

連れて来て良かったと思う反面、魔が差すような感情も湧いた。

新年早々の嫉妬相手が日の出だなんて。

俺も案外めでたい人間だったのかもなと密かに苦笑する。

「一度車置いて初詣、行きましょうか」

「初詣…」

それがどういうものか、園のみんなと話したのはまだ記憶に浅い。

「…あ、の俺…」

引いた手を躊躇いがちに、それでも確かに握り返されて歩みを止めた。

「カイト?」

「こ、今年も…マスターと居たい、ってお祈りしてもいいですか」

カイトが泣きそうな顔、するから俺まで泣きそうになって。

「今年、だけ?」

「…ほっ本当は…あの、神様ってどこまで叶え…っ」

陽に瞬く綺麗な雫が長い睫を濡らす頃には、腕の中へ閉じ込めてしまっていた。

本当はこのまま、出したくないとさえ思う。

「…そのお願いに神様は、必要ないと、思うよ」

日の出の次は神までも、蔑ろに思ってしまった俺に。

天罰が下らないよう祈って貰うべきか少し悩んで笑った。


A HAPPY NEW YEAR!
[歌へ戻る]

×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -