だいぶタイプ!
「美味い?」
店で出すよりかなり辛めに作ったパスタが順調に皿から消えてく。
その様に笑って聞いた質問は、無かったことにされたらしく。
ちらりとこちらに向いた視線は、直ぐに手元へ戻って行った。
アカイトの沈黙は肯定の場合が多い。
って気づいたのは、こいつがうちに来て何度目の夜だったか。
何とは無しにやってみた酒の肴が甚くお気に召したようで。
まったくもって懐く気配の無かったアカイトが、大人しく俺の傍に居るもんだから。
奇跡が起きたのかと思った。
味の好みがあるなら、話が早い。
嗜好を捉えて、心を掴む職種をしてる。
その日を境に、何かしら作ってやっては、
それを食うアカイトを肴に酒を飲む晩酌が恒例化した、わけだが。
「今日、何してた」
「…別に」
「誰か来た?」
「いや」
「電話は?」
「…。」
「あったのか」
こいつを俺に慣らすより先に、俺がこいつの素っ気無さに慣れてしまった。
それでもまぁ一応は、会話らしくなってきただけ、
総スルーされてた初めに比べりゃ凄い進歩だ、と笑えもする。
小さく頷いたアカイトの背後で、留守録のライトが点滅して見える。
誰だろう、と席を立って直ぐ。
「ま…っ」
傍を横切る際に上がった声で足を止めた。
「…ま?」
「…不味かったら、食わない」
あんまりにも真剣な顔でアカイトが言うから。
何のことだと一度呆けて。
直ぐに気づいて。
見事にやられた。
「…美味いって言えたら頭撫でてやる」
笑って言った提案を、ふざけんなと真っ赤な顔で威嚇されても、構いたくなるだけだ。
「5秒前ー4、3…」
「言わっ言わないからな!」
煽るとムキになるのも最近知った。
こいつを可愛がりたくて仕方ない近頃の俺の悩みは、こいつの人の好みが。
味覚と一緒で、辛口な奴だったらどうしようと、そればかり考えてる。
「…う、美味い、気も、する…」
無意識についた溜息に、慌てたアカイトが聞き逃す位の小声で言うから。
「…そういう事言うなって…」
「な…っおま、おまえが言えって言ったんだろ!」
自分の性格は匙加減が出来ないな、と早々に諦めて。
「おまえほんっっと可愛いな」
思う存分眼下の髪をぐしゃぐしゃ撫でた。
end
募マス箱より「料理がめちゃくちゃ上手な」マスターとアカイトでした。
アホなタイトル付けてすみませんでした。だっ思いつかなかっ(ry
寄付して下さった貴方様へ捧げます。ありがとうございマスター!^^
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