赤と青
「似合う?似合う?」

さっきからにこにこと同じ質問を繰り返すカイトを眺めて。

寝転がったソファで溜息をついた。

「もう、分かったから…」

いい加減室内でその暑苦しい格好を止めろ、と。

いくら言っても一向に、身に着けてる真新しいマフラーと手袋を外す気配が無い。

「マスターが俺に似合うって」

「…そりゃ良かったなぁ」

「うん…嬉しい」

こちらの棒読みを気にもせず、広げた自分の両手を繁々眺めては。

照れたように笑うカイトに、また深く息を吐いた。

何回同じ会話をすれば気が済むんだろうと思う。

このまま変化の無いやり取りを続けるよりも、俺は。

「なぁどっか行きたい」

「どっか…ってどこ?」

「…どこでもいいから外」

おまえの手と首につけてるそれだって、よっぽど役目を果たす筈だ。

「で、でも汚したくない…」

「部屋で汚されるよりは本望だろ」

「…な、なるほど」

真剣に頷いたカイトに、コートを放って俺も上着を取りに寝室へ向かう。

「あー、ねぇアカイトは何貰ったの」

クリスマス、と続けたカイトが玄関先で、俺が開けてた箱に気づいて笑った。

「…靴?」

「も、文句あんのか」

「無いよ、似合う、かっこいい」

「いいから早く着ろ!コート」

「あっそうだ、どうせだったら」

マスター達迎えに行こうよ、と然も閃いた顔をするカイトの案に、

冗談じゃない、と玄関ドアを押し開けて、駅までの道順を思い返した。


Happy Merry X'smas!
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