マスカイ+赤マスタ
「で、連休って?」

深くつかれた溜息に、一向に開く気配の無い寝室のドアを眺めて。

「おまえそれよりアカイトいいのか?」

聞いてから空気を読んだ。

「あー…えーと連休の話、だよな」

「その前に今おまえをはたかなかった俺を褒めろ」

「偉い」

よく分からんが、ついでにライターも点けてやる。

「で?」

「そう、それで、カイト」

「は、はい」

帰りに代理店から持って来たパンフレットを卓上に並べて見せる。

「連休が確定するまでは隠しておこうと思ったんだけど」

どれがいい?と笑って聞くとカイトが数度瞬いてこちらを向いた。

「マスター…?」

「先週テレビ観て、行ってみたいって言ってただろ?」

「…あ」

ぱたた、と涙が落ちたパンフを手に繁々と眺めて。

「嬉しい、です…」

呆然としてたカイトが、何かに気づいてはっとした。

「あーもう、おまえが隠し事するとホント碌な事無いな」

古い付き合いの友人にまで呆れた顔で溜息をつかれる。え、なんだ。

「マ、マスター、あの…」

「う、うん?」

隣の苦笑に後押しされて、何か言い難そうにカイトが口を開くから、こちらも身構えて言葉を待った。

「俺、パスポート取れますか?」

「……あ」

「アカイト、謝るから出ておいで」

それにあいつが好きなとこ連れてってくれるぞ、
と勝手な言い分で寝室をノックする友に、何でだ!と返してみても。

「2人でイタリアと4人で国内なら同じ旅費だろ?」

すごくいい笑顔で諭される。

「まぁ…お釣が来るな」

「わあ、みんなで旅行いいですね」

「俺休み取れたかなぁ来月以降にしてね」

「マスター俺、すごい楽しみ、です…っ」

この流れを覆すだけの手立てが俺にあるはずも無く。

膝を掴んできたカイトがきらきらと見せる笑顔は文句無く可愛い。

カイトがそれでいいのなら、まぁいいかと溜息をついて、俺も笑って頷いた。


end
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