マス赤+カイト
お隣さんが子犬飼い始めたらしいよ、とアカイトに教えたのは俺。
見に行かない?と誘ったのも俺。
しょうがないな、と付き合ったのはアカイトで。
それから度々遊びには行っていたけど。
『じゃあうちで預かってやる』
旅行話が出た際に、アカイトがそう言ったのには思わず耳を疑った。
「な、大丈夫だったろ」
じゃれ付くわんこを抱きかかえて、アカイトが笑う、けど。
「大丈夫だった、のかなぁ…」
「あいつが溜息をつくのは諦めた後だ」
だから大丈夫、と満足そうなアカイトに俺も溜息をついた。
さっきから可愛いと連発されては撫で転がされてるポチも、
満更じゃなさそうなので、それもそのままにしておく。
実際、可愛い、けどアカイトも可愛い。
ポチに対する素直さをそのままマスターに出せば良いのに。
と思ったけど言うのは止めた。
折角のご機嫌をわざわざ損ねることは無い。
「こらーまだ遊んでんのか」
子犬はちゃんと休ませないと、と声が掛かって渋々借りてきたケージに入れた。
アカイトのマスターは、煙草の煙は犬にもよくない、と言ってさっきからこっちに来ない。
じっと見てたら目が合って、うん?と笑われる。
アカイトは貴方を困らせたがってる節があるけど、
別に本気で困らせたいわけじゃなくて。
…いや、本気のときも多々あるけれど。
とにかくアカイトを見捨てないで、と念で送ってみた。
「アカイト、おまえ…カイトいじめたのか」
「は」
けど伝わらなかった。
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