ニギニギくまさん
これを貰って書いたマスカイ
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「何ですかこれ…」

犬にもクマにも見える顔が3つ上下に並んでる。
可愛いといえば可愛いけど怪奇といえば怪奇だと思う。

「職場のコに貰ったんだけど」

ネクタイを解いたマスターが、欲しいならあげるよ、と笑った。

「え!いいんですか?」

「何、ホントに欲しいの?」

マスターがくれるならなんでも欲しい、なんでも嬉しい、から直ぐに頷く、けど。

「どうやって使うのかわかんないです」

「取説無いのかな」

マスターもイマイチよく分かってないらしい。

「無いですね」

入ってた箱には他に何も見当たらず。
外面には至極簡潔な商品名。

「やっぱ…握るんじゃないか」

こうやって、とマスターの掌にクマ達が消えた。

「…なるほど」

「はい」

渡されたクマを真似して掌に納めてみる。

「痛っ」

「え?」

「これ、耳と鼻、が凶器です、よー」

木製だから地味に痛い。
並ぶクマの温和な笑顔が小憎たらしい。
おまえのツボ押してやるぜって顔をしてる。

「力、抜いても?」

「うう、慣れれば気持ちよくなるんですかね…」

「…。」

「…。」

途切れた会話に、あれ?ってなって見上げれば複雑な顔したマスター。

「やっぱ返して」

「ええ!な、なんで…」

「緩みきった面のクマに先を越されたくない」

「え?え…っ?」

展開についていけないまま奪い取られた彼らの笑顔を、
見たのはそれが最後だった。


おわり
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