おまけのマス赤
8割は戯言だとしても、残りの2割は本気ってことだ。

「…おい」

「んー」

しまった。
なんて聞き出すか考えて無かった、と。

声を掛けてから気づいて黙っていれば、

「…どうした?」

雑誌に落ちてた視線が数秒遅れでこちらに向いた。

「……やっぱいい」

「…そ?」

再び手元に戻る視線。
頁を捲る紙音がやけに耳についたりして。

「…おい」

結局また声を掛けたらマスターが笑った。

「昼間…」

「寝たから眠くない?」

ああ、分かった的な顔で目元を指で擦られる。
抵抗しても疲れるだけだから好きなようにさせておく。

「違…わないけど違う」

「どっちだ」

無駄な甘ったるさで返る笑顔は、いつもながらタイミングが意味不明だと思う。

けど。

「…昼間、に言った、だろ」

こういう時は、どんなに言葉を端折っても。

「ああ、カイトくれって?」

俺が言いたいことが何故か伝わったりするって。

知ってて口にするのに、当てられた途端毎度後悔する。

感情の内側を覗かれる感覚はたぶんずっと慣れない。

「やっぱ、もう、いい」

目元から頬へ移っていた指先を払い退けて言えば、
雑誌を閉じたマスターがこちらに向き直った。待て、何でだ。

「もういいって言っただろ!今」

「もしあのコがうちに住んだら楽しいけど…」

少し考える素振り、に嫌な予感。

「おまえ、声出せなくなっちゃうな」

「…?」

なんだ?どこに飛んだ?

話の流れは見失っても、確実に悪い方向に向かってるのは…

「抑える練習、しようか」

目前の妙に色を含んだ笑顔で分かる。

「な…?」

「幸い眠くもないんだろ?」

「え」

唐突に腕を引かれて臆してる間に、

「すごい疲れれば眠れるかもなー」

「ちょ、待…っ」

ずるずると連行される一室は寝室で。

「!!おまえ、まさか、ハナっからこれが狙…っ」

「まさかそんな人聞きの悪い」

人の悪い笑顔を前に。

張られた罠に掛かったらしいとやっと気づいた。


end
4人話でマスタSがカイトをくれやらん言い合ってる時、
赤が拗ねてたらいいよね!しかもそれを赤マスは気づいてたらいいよね!って言ってくれた方が居たので^^
赤マスは分かった上で利用する気だったらいいよね!ってなって書いてみました^p^

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