4人
「もうもう次は騙されません、よ!!」

言ってやった!って面したカイトを眺めてぽかんとした。

なんだ、こいつもしかして、さっきの電話信じた、のか?

と呆れた俺とはまた違った表情で、マスターふたりも呆けていた。

「…カイトはかわいいなぁ」

「可愛いだろ。やらんぞ」

けど、直ぐに雲行きが怪しくなって。

「…くれ」

「だからやらんって言ってんだろ」

不穏な声音のやりとりに今度はカイトがぽかんとしだした。

「おまえがそこまでちっさい男だとは知らなかったな」

「おーなんだと?もう一度言ってみろ」

「あ、あの?えっと、あの…っ」

いよいようろたえ出したカイトを見てから俺はテレビを点けた。

毎度毎度よく飽きないもんだ、と思う。

「よし、今日こそ決着をつけてやる」

「おお、望むところだ」

「マ、マスター!?あの、え?あの待…っ」

カイト、おまえ、よく聞け。
ふたりの声震えてんじゃねーか。肩も。

「…っだめだ、すまん、もう無理続かない」

「いや、頑張った方だと思うあはは」

「!!?」

案の定の展開に溜息をついて、カイトを見れば衝撃に満ちた顔をしてる。

おまえは…少し学習しろ。
こいつらの会話なんか8割戯言だろいつも。

「ま、まさか、また騙…っ」

ぐっと水分を含んだカイトの声に、大の大人ふたりが慌て出して。

「しんぱい、した、のにひどい、ですよ…っ」

「ああ!そうだよなっ俺が悪かった!」

「カイト、ほら!泣くなら俺の胸で泣け!」

臨場感に満ちたリビングでひとり欠伸をして、昼寝でもしようかとソファに転がった。


end
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