青マスタとアカイト
「余計なこと、しやがって」

思いっきり顰めた顔を逸らされる。

普段笑顔を真っ直ぐに向けられることに慣れてる所為か、
その仕草が余りにも新鮮すぎて、少し呆けた。

「んなこと言って…おまえ、あのまま補導される気か」

偶然立ち寄ったコンビニで、隣の家の問題児は、案の定問題を起こしていて。

なんだかよく分かんないけど、店員と揉めてるとこを割り行って回収してきた。

手に持ってる財布には見覚えがあるから。

「お使い?えらいな」

深く考えずに言ったら膝の裏を蹴られた。

「いって!…おまえなぁ」

「馬鹿なこと言うからだろ!」

「あーもーホント可愛くないな…」

ずんずん前を行く後姿に苦笑して嘆息。

「大体、おまえが邪魔するから、何も買えてない」

「何買うつもりだったんだ?」

「…なんでもいいだろ」

少し拗ねたような顔をまたふいっと逸らされる。

カイトとはまた違った意味で甘ったれだよな、こいつも。

無意識に、幼い表情をしたりする、から。

「さっき、なんで揉めてたんだ?」

無性に甘やかしたくなったりする。

「……俺が、ハタチに見えない、とかぬかすから」

「二十歳?」

ぴたりと立ち止まったアカイトにつられて足を止める。

無言のまま指をさされる方向に自販機。煙草の。

「…なんだやっぱお使いじゃないか」

「だから、ちげぇって言ってんだろ!」

…ああ、なるほど。強制じゃなく、

「自主的か」

またもずんずん先を行くアカイトの背に真相を指摘すれば、弾かれたように振り返る。

「〜っ文句あんのか」

案の定、かぁっと染まった表情に苦笑した。

こんなにも不器用な懐かれ方をされたらそりゃ可愛がりたくもなるな、と。

深みに嵌まってる友人に共感するしかなかった。


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