どっちもどっち
カイトがフリーズした。
青い瞳に映りこむのは光の反射。

とりあえず、テレビは1m以上離れて観ような。部屋は明るいけども。


大体なんで、都合よくアイス特集とかやるかな…。
おまえ手に持ってるのは何なんだ。それをまず食え。
つかちょっと動け。同じ体勢から微動だにしないにも程があるだろって思ってたら。

「はぁ…北海道限定…」

動いた途端、復唱すんな。

「マス」

「無理」

「なっ、は、早いですよ!まだ何も言っ」

「諦めろ」

即断に対する抗議の嵐を溜息で流して、視線を落す手元では見事に進まない数式。

「大体、おまえ、俺の宿題終るの監視するとか言ってなかったかー」

「!!」

なんだ、その、今気づきましたって顔は。くそ、可愛いな。

「してました、よ!」

堂々と嘘をつくな。

「で、進みましたか?…って何、寝ようとしてるんですか」

背凭れにしてた背後のベッドに突っ伏した途端飛んでくる声音を耳に、視線だけカイトへ戻す。

「一緒に寝る?」

「な…っ」

案の定、瞬時に色づく表情に思わず嘆息。

「おまえってなんで、そう…」

反応がアレなんだ。
ホントもう、勘弁してくれ、と思う。

見かけばっか大人ぶって。
ガキみたいな目でテレビ観て。
戯言を真に受けて染まる。

これはもう仕方ない。
不可抗力だ。
あって無い様なものだ、よな。17の限界なんて。


理性の。


「ちょ、え?うあ…っ」

カイトの手を引いた反動でベッドへと転がして、身体の左右に手を付いた。

見下ろした表情が疑問から狼狽に変わってく。
その瞬間は結構、愉しいと思う。

「まままま待ってくださいっマスター、あの、えっ」

人間は、あれだ。
目の前にテンパってる奴がいると案外冷静になるもんだ。

「いいから黙ってろ、キス出来ない」

「キ…!」

だからそこでそういう顔、するから煽るんだって、気づかない方が愉しいからまぁいいか。

「…っう」

すっかり下がった眉の間にまずひとつ。
落とした時点で固く閉じた瞼にも。

焦らすように唇を指でなぞると震える身体。

「…して欲しいの?欲しくないの?」

「〜…っ」

躊躇いがちに揺れた睫が既に濡れてる。

「ま、すたーはズルイ、です…っ」

そんな顔で。
そんな事言われて。

正常で居られるほうが異常、だろ。

「…どっちが」

駆り立てられる衝動に従って、無自覚の誘惑が潜む唇へキスをした。


end
募マス箱より「現役高校生で鬼畜」マスターでした。
鬼畜って言うかただの意地悪になった!申し訳ない!
寄付して下さった貴方様へ捧げます。ありがとうございマスター!^^

[歌へ戻る]

×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -