今も昔も

鬼道さんが雷門に行く前の話。
10年後設定です
3号組でルームシェアしています。






雷門との試合も間近に迫る。それは鬼道や佐久間、そしてレジスタンスの人間達にとっても大事な試合であった。



帝国学園に忍び込むシードを見つけ出す



これが今回の任務。
育て上げた生徒がシードかもしれないという事実は苦しいがやむを得ない。
シードの奴だって一度正しい道に戻してやった方が良いのだ。

そんな事を話しつつ、鬼道と佐久間は帰宅した。





―――――








「不動ただいまー」


「お帰り次郎ちゃん」


「おい、俺にお帰りはないのかこの居候」


「うっせー、居候じゃねぇから。ったく毎日毎日佐久間と一緒に帰って来やがって…たまには一人で残業したっていいんだぜ?」


「佐久間をお前と二人きりにするなら繁華街を歩かせた方がまだ安全だな」


「何で?」


二人の会話についていけず不動と鬼道の顔を交互に見る佐久間。


「俺はお前と佐久間が一緒に仕事してる方があぶねーと思うけど」


「お前と一緒にするな――」


「煩い!!兎に角喧嘩するな、俺はお腹空いた!!」


佐久間の一喝で口論は止んだ。







――――






料理は不動が担当だ。というより家事はすべて不動の仕事である。
未だに就職をしていない彼はここで家事をこなす事で生きていた。

テーブルには美味しそうな料理が並ぶ。
品数も豊富で栄養バランスも良い。



「料理は本当に上手いよな…」


鬼道は尊敬と悔しさを足して2で割ったように言った。


「いつもありがとな、俺、不動の作る料理大好きだ」


「嬉しいこと言ってくれるじゃねぇか佐久間は」


「これで就職してくれれば文句はないのだが…」


「鬼道クン、それ言うなって何回言ったら分かるんだよ」


「偉そうな口叩くなニートが」


「なんだと!卵焼き一つ作れないお前にとやかく言われる筋合いねぇよ」


また始まったと佐久間は遠い目をして2人を眺めていた。
2人のこんな光景は今日始まった事でもない。だから暫く放って置き、それから―――




「お前ら煩い!いい年してなんなんだ!!」


参謀様のお叱りが飛んでくるとW司令塔は直ぐ様大人しくなった。
二人とも佐久間に惚れている。だからこそお姫様には逆らえないのであった。



―――――







鬼道は自室に引き上げたが、佐久間は不動の手伝いをしていた。



「これは俺の仕事なんだからいいって。お前は休んでろ」


だが佐久間は


「今日は元気だから気にするな」


そう言いながら食器を片付ける。



不動はいつも家事を全部やってくれる。
それは居候の身としては当たり前の事なのかもしれない。
それでも彼のお陰で日常生活を快適に過ごせると思うと手伝える時くらいは手伝いたいのである。

佐久間と一緒に家事ができるのは不動にとって嬉しい事この上なかった。
彼は仕事でいつも鬼道と共にするから長年佐久間に想いを寄せている不動としては心配でしょうがない。

アプローチはしたいのだが鬼道という最強のライバルがいるせいで上手くいかない。
デートに誘おうものなら全力で邪魔されるだろう。




(何かいいアイディアはねぇかな)


「不動?聞いてるか?」

「…!?…ああ悪ぃ、聞いてる」



考え事をしていて話し掛けられたのに反応できなかった。
佐久間は気にせず話を続けた。



「だから、お前らもう少し仲良くしろよ?俺達24だぜ?喧嘩すんのおかしいだろ」


「またその話かよ…分かった分かった仲良くするって」


「そう言ってまた喧嘩するくせに…」



別に鬼道の事が嫌いな訳ではない。本当に嫌いなら喧嘩どころか口すら聞かないだろうし何より一緒に住んだりしない。
寧ろ友人としては最高だと思う。佐久間の事を除けば…



好きな人が被ってしまった

鬼道は中1の頃から佐久間が好きだった。不動は中2の半ば頃から。

時間的に言えば鬼道の方が長いが不動だってずっと好きだったのだ。そう簡単には渡せない。

年を重ねる毎に男らしくなるどころか益々性別の区別が付かなくってしまった彼はどんどん綺麗になっていった。



「兎に角喧嘩は駄目だ。なっ?」


カラン、その言葉と同時に佐久間は持っていた箸を落としてしまった。
何故なら不動が彼を抱き締めたから。


「どうした…?」


佐久間は驚きを隠せないまま恐る恐る不動に尋ねる。


「…悪い、けど今は何も言うな」


ただこうしていたかった。願わくは本当の意味で彼をものにしたい。
今はこの切ない気持ちをどうする事もできなかった。







――――――






「鬼道入っていいか?」


「ああ」


許しを得た佐久間は鬼道の自室へ入った。



「どうしたんだ?」


「あ、いや明日の練習どうしようかなと思ってさ」



嘘だった。
さっきの出来事が頭の中でぐるぐると回り、何となく1人でいたくなかった。




「新しいトレーニングでもいれるのか?」


「…そうじゃなくて……」



慌てる佐久間を見て鬼道は思わず笑ってしまった。


「佐久間、用はないけど来たって素直に言えばいいじゃないか」


「う…」


佐久間は素直な分簡単な嘘がつけない。
それを長年想い続けた鬼道が知らないはずがなかった。



「相変わらず素直なんだな」


「うるさいっ…」


子供みたいに拗ねる佐久間が可愛くてついからかってしまう。



「で、さっき不動と何かあったのか?」


「えっ!?」



まるですべてお見通しのような口振りに佐久間は動揺を隠せなかった。



「な…んで」


「やっぱりか」



鬼道はやれやれと言うように軽くため息を吐くと佐久間の身体を己の元へそっと引き寄せた。



「ダメじゃないか、不動には気を付けろと前から言っていたはずだ」


「けど」


「言い訳するな」



そう言って鬼道は佐久間にキスをした。


暫くして唇を離せば顔を真っ赤に紅潮させた佐久間がいた。



キスはこれが初めてではない。
帝国の総帥室で一度された。だがこうもいきなりされると免疫のない佐久間にとっては緊張して仕方がない。



「鬼道…」


「どうした?」


「もしかしてヤキモチか?」


「ああそうだ。お前を誰にも渡したくない、だから――――」



鬼道は佐久間の首筋に噛みつくようにキスをした。


「これ、不動には内緒だぞ?」


付けたキスマークをそっとなぞりながら鬼道はそう言って笑った。






今も昔も

貴方の独占欲は変わらない







「馬鹿…バレたらどうするんだよ」


「さぁな、その時はその時だ」


「他人事だと思って」


「いいじゃないか、お前はシェア出来ないからな」


「!!……鬼道狡い」




とーあ様リクエストで不+鬼×佐でルームシェアでした。とーあ様のみお持ち帰りOKです
3Pどころか鬼道さん勝ってますね(汗)ほぼ鬼道さん勝ってる…明王ェ。
こんなもので良ければもらってやってください。
この度はリクエストありがとうございました。