episode5



二学期も残り少なくなり、とうとうあの行事がやって来た。


「やばい!!これ絶対追試だって!」


二学期期末テスト当日。教室に入ると源田がパニックを起こしていた。


「大丈夫か源田」


「全くもって大丈夫じゃない。範囲広すぎるだろ!それに昨日試合あったし」


俺たちサッカー部にテスト休みというものは存在しないのだ。


「確かに昨日試合で今日テストはハードだよな。……佐久間はまだか?」


「そういやまだ来てないよな」


「昨日も疲れたって言ってすぐ帰ったし」


そうこうしているうちに開始五分前になり、生徒は自席で勉強道具を片付け始める。


するとようやく佐久間が来たが、足元がふらついていて明らかに具合が悪そうだった。


「佐久間!お前…」


俺が駆け寄ると佐久間は立っているのも辛いらしく俺にしがみつくかたちになってしまった。


「悪いな鬼道…」


「俺は大丈夫だ。それより凄い熱じゃないか」


「いや、平気だからテスト受けなきゃ…」


そう言うと同時に倒れこんでしまった。


「佐久間!?」


担任は佐久間を見た時に保健の先生を呼びに行っていたようで佐久間はそのまま保健室に行く事になり、俺たちは通常通りテストを受けた。


いつもより長かったように思えたテストも終わり、俺は源田と一緒に保健室に行った。


「先生、佐久間はどうですか?」


「今は寝てるわ。もう少ししたら施設の方が迎えに来るから大丈夫よ」


「容態の方は」


「詳しくは分からないけれど相当無理してたみたい」


「そうですか…」


すると話し声で目が覚めたのか佐久間がベッドから飛び起きた。


「先生、テストは!?」


「駄目よ佐久間君、まだ寝てなきゃ」


「でも…!!」


「無理をすれば治るものも治らないわよ」


保健の先生がそう言うと渋々ベッドに戻った。


「佐久間、いつから体調悪かったんだ?」


そう俺が聞くと佐久間は


「一昨日」


と答えた。


「一昨日!?なら何故試合に出たんだ!」


「体調悪いくらいで休めるわけないだろ!自分の事過信してる訳じゃないけどさ、俺がいなきゃ連携技は使えないし鬼道のフォローもできない。俺の事頼りにしてるって言ったのはお前だろ?」


俺は何も言えなくなってしまった。源田が黙っているのも俺と同じ気持ちだからだろう。

確かに佐久間がいなければ俺のゲームメイクも使えないし連携技もできなくなってしまう。だから俺もみんなも佐久間を頼りすぎていた。佐久間はそれを分かっていたから無理をして試合に出たのだ。


俺のせいだ…


「すまなかった、俺がしっかりしていれば」


「いや、鬼道のせいじゃない。俺だって鬼道を頼っていた。もしお前が調子悪かったとしてもお前は無理をするだろう。俺こそ怒鳴ったりして悪かった」


そんな話をしていると施設の人がやって来て佐久間は早退した。


佐久間はどうなるんだ?テストを休むとどうなるか俺は知らない。


ただ帝国学園の事だ。相当痛いだろう。


嫌な予感がした