episode2
次の日
朝俺が学校へ行くと既に佐久間と源田が朝練のメニューについて話していた。
たったそれだけなのだが気持ちが落ち着かない。本当にただ話していただけなのか?俺が来る前に何かしてたんじゃないのか?
佐久間と源田は何故かよく噂になっていた。源田は俺の幼馴染みであり『恋愛よりサッカー』という奴だというのも分かってるはずなのだが、佐久間が絡むと源田ですら疑ってしまう。
「鬼道?」
佐久間がどうしたんだと俺を見る。
「いや、何でもない。次の試合について考えてただけだ」
俺がそう言うと、遠くから女子が源田を呼んでいて、源田はそっちに行ってしまった。
「アイツ最近よく女子に呼ばれるな」
「まぁモテるからな。昔からそうだった」
「でもみんな断ってるよな。何でだろ」
「それはお前と付き合ってるからじゃないのか」
言ってからしまったと思った。だが佐久間は有り得ないと笑った。
「俺が源田と?絶対にないね」
「じゃあ何で噂になるんだ」
「知らない。ってそれよりお前がそんな噂を信じるなんてな。意外だ」
「信じてるわけじゃない。ただあまりにも噂になってたから」
俺は慌てて適当に理由を取り繕った。まさかそれが気になって朝っぱらから嫉妬してましたなんて言えやしない。
「まぁなんにせよ俺は男だからな」
源田と付き合ってたらホモじゃんと笑う佐久間に俺は何も言えなくなってしまった。
佐久間は男に人気がある。だが佐久間も恋愛経験はなく興味もないらしい。同性愛についてはどう思ってるか分からないが大抵は抵抗をもつ。俺だってまさか自分がそうなるなんて思いもしなかった。
それなのにいきなり親友に告白されたらどうなる?
俺が今好きだと言ったらお前はやはり軽蔑するのだろうか。親友をそんな目で見るなんてと失望されるのだろうか。
それなら親友になんてなるつもりはない。