すれ違い



最近鬼道と不動の仲が良い。佐久間はそう感じるのであった。アジア大会決勝でも、新必殺技を完成させていた。しかし鬼道が円堂や豪炎寺と親しいのも正直喜べないのに、不動となるとますます抵抗がある。佐久間はあの事は不動のせいだとは思っていないが、禁断の技がなかなか完成しない自分に暴力を振るったのは彼であり、鬼道から貰った大切なペンダントを取り上げたのも彼である。信用してるかといえば当然嘘になる。

そして数日前から、不動は鬼道をわざわざ誘って練習している。それが佐久間の悩みの種であった。不動も鬼道のことが好きなのではないか、そう思うといてもたってもいられなくなってしまう。自分が鬼道を誘えばいいのだが、帝国にいたよりも距離ができてしまった彼に断られでもしたら立ち直れないなと思い、それもできない。どうしようなんて考えていたら一つアイディアが浮かんだ。

そして練習後、佐久間は自分から不動のところへ行った。

「不動、この後練習に付き合って欲しいんだけどいいか?」

突然の申し出に不動はぽかんとしていた。
すると鬼道がやって来た。
「佐久間…悪いが今日も不動と練習させてほしいんだ」

鬼道はまだ佐久間の事が好きだった。その佐久間がずっと嫌っていた不動をいきなり練習に誘うなんてどうしても気になってしまう。それなら自分が不動と一緒にいる方が全然よかった。だがそんな気持ちを知らない佐久間はショックを受けた。

それを見ていた不動が口を開く。

「何なんだよ、俺の取り合いか?俺はいつからそんな人気者になったのかねー。まぁいつもは鬼道クンと練習してっから今日は特別に佐久間、お前とやってやるよ」

あまりに上から目線で言われたものだから怒りたくもなったがそこはこらえてありがとうと小さくお礼を言った。そして二人はメンバーのみんなが宿舎に戻った後もグラウンドに残った。




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