募る想い



デモーニオが去って暫くした後、佐久間は目を覚ました。


「……不動!?」


「ようやくお目覚めか」


「なんでお前がここに?」


「はぁ!?お前が危ねぇ目にあってたから助けてやったんだろ。思い出せ」


佐久間は記憶を辿っていった。確か鬼道を追っかけていた時誰かに襲われて、それから………。


「あーー!思い出した!!」


全部思い出したが、一番気になるところで記憶が切れてしまっていた。


「不動は、その…どこまで見てたんだ?」


「結構見てた」


「もしかしてあれも?」


「あれってキスか?」


「そうそれ!俺その辺から記憶ないんだよ。どうだった?セーフか?」


「セーフ。まぁ俺のお陰だけどな」


不動がそう言うと佐久間は安心したようにはにかんだ。


「良かった〜ありがとな、不動」


「マジでこれからは気を付けろよ」


佐久間には本当に気を付けてもらわないと困る。あんな急に現れた奴に奪われては堪らない。実は佐久間はまだ経験がないのだ。あまりにも格好悪いから聞きたくはなかったのだが、気になりすぎて以前鬼道に聞いたことがあった。二人はどこまでの関係だったのかと。そうしたらまだ何にもしてなかったとか。だからこそ佐久間には自分自身にも気を遣って欲しかった。そうじゃないと不動も鬼道も気が休まらない。

そんなことを考えていると、佐久間が心配そうに辺りを見渡す。


「どうしたんだよ佐久間」


「鬼道はどこにいるんだ?」


「鬼道クンなら影山と言い合ってたぜ。まぁフィディオに任せといたから――」


「影山と一緒なのか!?じゃあこんな事してる場合じゃない、鬼道を助けに行かなくちゃ…」


そう言って佐久間はふらつきながら立ち上がった。


「おい、無理すんなよ佐久間。お前はまだ休んどけ」


「鬼道がピンチなのに休んでられるか!俺は大丈夫だから……」


しかし、大丈夫と言ったそばから倒れてしまった。


「だから無理すんなって言ったじゃねぇか」


後で鬼道に怒られそうな気がしたが、放っておく訳にはいかないので佐久間を抱き上げ、二人を探した。眠ってしまった佐久間を見ながらさっきまでの事を思い返していた。


(やっぱお前は鬼道クンが好きなのか)


鬼道が絡むとあんなに心配するのはそれだけ好きな証拠。そんな分かりきった事を改めて実感させられて辛くないはずなかった。

それでもそういうところに惚れたのは不動であり、やはり自分は佐久間が好きなんだと思った。


切ない恋心は募るばかり






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