奇襲



佐久間は一人ため息をついた。


どうやら完全に迷子になってしまったらしい。おそらく、鬼道を追いかけていて曲がり角を間違えてしまったようだ。しょうがないので一人で影山を探すことにした。


するとボールを蹴る音がした。音がする方を見ると、マントが視界に入った。



「鬼道?」


佐久間はそのまま鬼道らしき人を追い、薄暗い路地に入る。眩しくてよくは見えないが、直感的に鬼道ではないことが分かった。


「お前誰だ?」


しかしその男は、佐久間の問いには答えず怪しげな笑みを浮かべる。


その時だった。


後ろからいきなり後頭部を殴られたのだ。普段は反射神経が良いので避けられたが、目の前の男に気をとられて背後に気づかなかった。


かなり強く殴られたせいで佐久間はそのまま地面に倒れ、意識を失った。







―――――――――――







「アイツ一体どこ行ったんだよ」


「あそこも見てみるか?」


鬼道が指したところは薄暗い路地だった。


「もしかしたらいるかもしれない。行ってみよう」


路地を進んでいくと人影が見えた。近づくと二人は息を飲んだ。
そこには見ず知らずの男と、倒れている佐久間がいたのだ。一人の男は鬼道にそっくりだったが今はそれどころではなかった。


「佐久間!!」


「てめぇら佐久間に何をした」


「どうやら邪魔が入ったようだな。おい、こいつらを始末しろ」


鬼道似の男が命令を下したとたん、そばにいた厳つい男に腹を殴られ不動も鬼道もその場に倒れた。
二人は朦朧とする意識の中で会話を必死に聞き取った。


「………このゴーグル着けてる奴をMr.Kが探してましたよね。どうします?」


「総帥はきっと御自分の手でなんとかするはずだからそのままにしておけ。俺は佐久間次郎さえ手に入ればいい」


「そうですか、ではイタリアエリアに戻りましょう」



だいたいこんな感じのことを言っていたが、二人ともダメージが大きくそのまま意識を手放した。




「……動……不動」


不動が気が付いたときには鬼道はもう意識を取り戻していたようだった。


「大丈夫か?」


「鬼道クンこそ大丈夫か?それにしてもいきなり襲われるなんて思ってもみなかったぜ」


「ああ、俺たちあっさりやられたもんな。そういえばあの俺の真似した男は誰なんだ」


「鬼道クンの熱狂的なファンとか」


「ファンが攻撃してくるわけないだろ。あの男、佐久間を手に入れるとか言ってたよな」


「そういえば言ってた。ついでにお前もミスターなんとかって奴に狙われてるっぽいな」


「俺の事は今どうでもいい。とにかく奴らはイタリアエリアにいる。行くぞ不動!」


そして二人はイタリアエリアに向かった。







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