忍び寄る影



佐久間と鬼道は、影山が車に乗る瞬間を目撃したが、こちらに来たバスにより視界を遮られたせいで見失ってしまった。
手掛かりを探す為、まずは近くにいた不動に話を聞いた。


「不動、今影山がいただろ?何か知ってることはないか?」


佐久間が影山のことを聞いてくるが、不動はそれどころではなかった。何せ思いきり二人のデート現場のような状況に出くわしたのだから。いつの間にか随分差をつけられたな、なんて悔しい思いをしていたら、佐久間の声が聞こえ我に返った。


「不動!!聞いてるか?」


「はいはい聞いてるって」


「影山の奴…一体何を企んでいるのやら」


「鬼道、不動。こうなったら俺たちで影山の悪事を突き止めようぜ!!」


二人は佐久間を危険な目に逢わせたくないなと思ったが、どうせ止めてもこういう時の佐久間には無意味な気がしたのでやめた。そして三人はそれぞれ別れて影山を探すのであった。


やがてこの選択がとんでもない出来事を起こすなんて誰にも分からなかった。


だが……



「もうすぐ私のものになる」


三人に迫る影は…



「待っていろ。佐久間次郎」



着実に迫っていた。




――――――――




「見つかったか?」


「いや、こっちはダメだった」


「俺も見つけられなかった」

「でも、そろそろ戻らないと練習に間に合わないよな…」



気にしつつも三人は練習に戻った。


だが練習には全く集中出来ず、終いには久遠監督にグラウンドから追い出されてしまった。

佐久間と鬼道は練習を眺めていたら、不動がいなくなっていたことに気が付いた。


「アイツいつの間に…」


「俺も行く」


「鬼道!?」



鬼道を追うように佐久間も走った。




鬼道は前を歩いている不動を見つけ、呼び止めた。


「不動!!」


「なんだよ鬼道クン。…?って佐久間は一緒じゃないのか?」


「何を言ってるんだ。佐久間なら後ろに………」


そう言って振り返ると佐久間の姿はなかった。


「いない………」


「ちゃんと後ろ確認して走れ馬鹿!」


「すまない」


「けどよぉ、佐久間って足速いんじゃないのか?」


「相当速い。だがどうしよもないくらい方向音痴でな、多分途中で道を間違えた上に迷ったのかもしれない」


「相変わらず変なとこが抜けてるよな。しょうがねぇ、影山の前に佐久間を探すぞ」


「そうだな、迷って危ない道を通ったりしたら大変だ」


こうして二人は佐久間を探すのだった。







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