友人の憂い事



早いものでイギリス戦が終わってからもう二週間程たち、この間に佐久間は不動と親しくなることができたことが嬉しかった。ただ鬼道とは相変わらずで、一緒に練習はしたりするもののそれ以上の進展はなかったのが残念だった。


佐久間は夜、自室でケータイを掛けた。


「源田ー。生きてるか?」


「生きてるに決まってるだろ。佐久間はどうしたんだ」

「あ、そうそう。俺不動と仲良くなったんだ」


「不動とか!?」


源田も不動にはいい思い出がない。それなのに仲良くなったなんて信じられない話だった。


「アイツさ、思ったよりいいやつだったぜ」


「そうなのか?まぁお前がそう思うならいいけど…」


それから何回か他愛もない話を繰り返し電話を切った。

源田は楽しそうな佐久間の声を聞いて安心したが、同時に心配にもなった。佐久間は自分が周りにどれだけ影響を及ぼしているのか気付いていないのだ。以前から佐久間の『仲良くなった』という発言は、向こうが友達以上の感情を抱いている時ばかりだった。サッカー部のメンバーは、鬼道と佐久間の仲の良さを呆れる程見てきたため、源田も含めてそういう感情はない。だがいまだに帝国学園内には佐久間に想いを寄せる者が沢山いる。源田はそんな鈍い佐久間が友人としてかなり気掛かりだった。鬼道もそんな佐久間が心配で、時々愚痴をこぼしていたのだ。不動もすでに佐久間に囚われてしまった可能性が高い。源田は佐久間が喰われませんようにと祈るのであった。




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