ログ2011〜2013 | ナノ








真帝不佐久。
色々注意
ぬるいですがR15なので年齢制限は守って下さい








































佐久間次郎は弱者だ。

ただ最初からそうであったのではなく、ここ最近で彼の人生は転落していった。
確かに昔は強かったといえる。

全国一の実力を誇る帝国学園のストライカーで鬼道の自慢の参謀。

文武両道才色兼備、おまけに容顔美麗ときた彼は誰からも認められる気高い存在であった。

だがそんな肩書きは今の彼からは想像もつかないのだ。









―――








殺風景な部屋に置いてあるベッドの上で佐久間はぼんやりとしていた。

こう表現すれば一見休憩でもしていたように思える。だが実際は違う。





「鬼道さん…」


もう何度目だろうか。彼がこの名前を口にするのは。

だが何度口にしようがその名前の主は現れない。

それでもいつか己の前に再び現れてくれるのではないかと期待している自分がいた。


自分がどんな状況におかれているのかも考えず











「佐久間ァ」


低く冷たい声が佐久間の意識をはっきりさせる。
声の主はノックもせず勝手にその部屋に入ってきた。


「不動…」


「よぉ、元気か?」



不動明王


真帝国学園を作るために佐久間と源田を巻き込んだ張本人。

そして今、佐久間がこの部屋にいた理由を作った人物。


「おい、そのまんまってのはどうかと思うぜ?」


不動は半ば呆れたように佐久間を見たが、彼は何も言わない。


「シャワー浴びる気力もないってか…」


フンと鼻で笑うようにしてベッドに腰をかけた。


「シーツくらい取り替えろよ」



何を言っても佐久間は答えない。
それもそのはず、彼は今、肉体的にも精神的にも疲弊しきっていて、何もする気になれないのだ。



「…まぁあれだけスれば疲れるか」


にやりと口角を上げ、再び彼を見る。

佐久間の下肢からは白濁がとろとろと流れていて、そこには血も混ざっていた。



「惨めだな、お前」


嘲笑するように言ってやると、光を失った橙色の瞳が一瞬揺らいだ。









―――――――









真帝国学園に連れてこられた二人は反発を繰り返し、不動を困らせた。

エイリア石の力で源田を黙らせることはできたものの、佐久間の意志を曲げることはできなかった。

決して折れる事のない佐久間の意志はどこからくるのか、不動は考えに考えた。

しかしそれは彼には分からなかった。


連れて来たって言うことを聞かないのでは話しにならない。
それどころか計画の妨げにもなってしまう。


影山の怒りもピークに達したようで、ある日不動を呼び出した。





「今日中に佐久間の意志が折れなければお前も連帯責任でここから追い出すからな」


勿論不動は納得いかない。


「はぁ!?ふざけんな、何でこの俺が追い出されなくちゃならねぇんだよ!」


「今の佐久間は他の選手にも悪影響だ。反発する者が増える可能性もある」


「だからって俺は関係――」


「お前の替わりなどいくらでもいるんだ」


不動はその言葉に何も言い返せなくなってしまった。



不動は改めて理解する。

コイツは所詮あの鬼道とかいう奴にしか興味ないのだ、と。
それでも不動はここで負ける訳にはいかない。

それなら今は影山の言うことを大人しく聞くしか…







――――――








一体どんな方法で黙らせようか。
妙案が浮かぶ前に不動は彼の自室の前に立っていた。


「鬼道さん…」


ドア越しに声が聞こえ、不動は佐久間に気付かれないようにドアを開けた。

不動の方を向いていないので気付かれてはいない。

佐久間はうっとりとした表情でペンダントを眺めている。
それは不動が渡したエイリア石のものなんかではなく、高価そうなアクセサリーだった。
彼はそれをいとおしそうに握りしめて、如何にも大切にしているのが分かる。
そしてそんな佐久間の表情を見て、不動は変な気分になった。



「鬼道さん。俺は必ず戻ってきます。こんなところには染まりませんから、帰って来たらまた一緒にいてくださいね」




そこまで聞いて不動は不敵な笑みをこぼした。



「そういう事か」



声に反応して佐久間は不動の方に視線を向けた。
もうその目には先ほどのような優しさはなく、憎悪と軽蔑の念が込められていた。




「貴様、何しにきた」


「何しにって、お前に会いに来たんだぜ?」


「俺はお前に用なんかない。さっさと出ていけ、目障りだ」


「おいおい、随分偉そうだなぁ」


ゆっくりと佐久間に近付き、距離を詰めると肩を乱暴に掴んだ。


「離せっ!」


「お前、鬼道の恋人か?」


「…貴様に関係ない」


「愛しの鬼道さんがいるから反発してんのか」



漸く謎が解けた。
佐久間の折れない意志は恋人であった鬼道の存在が関係していたのだ。


やはり図星だったのか、佐久間は冷静さを失い始めた。



「黙れ」


「でもその『鬼道さん』はお前の事捨てたんだぜ?」


「煩い煩い!」


「可哀想だなぁ佐久間」


耳元でそう囁くと不動は乱暴に佐久間をベッドに押し倒し、組み敷いてやった。


精神的に不安定になった今ならエイリア石も効くだろうと思い、ポケットからエイリア石を出そうと思うと、佐久間は抵抗を始めた。



「やめろ!どけ、不動」


だが華奢な身体つきの佐久間はこの体勢を覆す事なんかできない。


不動は組み伏したまま佐久間の顔をまじまじと見る。
ストレートに伸びた水色の髪、長い睫毛に橙色の瞳。
今更ながら綺麗だと思ってしまった。





「嫌…助けて、鬼道さん!!」



なんとか起き上がろうとするが不動の体は動かない。
佐久間は己に抵抗する力がない事が分かると悔しいやら悲しいやらで涙が溢れた。


「っ…鬼道…さん」


一人の人間を想い続ける強い意志を宿した彼の表情は、背中がぞくりとするほど妖艶で、不動を刺激した。それと同時に下半身に嫌な熱が篭る。

不動は佐久間の衣類に手を掛けた。












―――――





それからはもう悲惨であった。

不動は泣き叫ぶ佐久間を殴り付け、無理矢理犯した。

佐久間がいくら抵抗しても、その都度頬を叩き、頼み込んでも行為を中断させる事はなく、煩い時は口を塞いだ。

今まで性交の経験がなかった不動であったが、一度体験した快感は彼を興奮させ、彼自身は萎えることなく佐久間を犯した。

佐久間も意思とは裏腹に何度も絶頂を迎えさせられたせいで、徐々にプライドや意志が薄れ、最後の方はされるがままとなってしまった。


どんなに助けを呼んでも誰も来ないし下手に抵抗すれば殴られる。
おまけに下は裂けてしまったようで、血は流れ、激しい痛みに襲われる。


限界だった。

元々ここに連れて来られた時から心身共に弱り果てていて、反発することだけが唯一できる抵抗でもあった。

だが、佐久間は自分が鬼道に捨てられた事も本当は理解していた。

それでもそれを認めたくなくて、また自分が戻れば鬼道は受け入れてくれると思って。
その望みにかけていた。





――――




しかし



「こんな身体じゃ戻れねぇよな」



不動はそう言って佐久間の身体を撫でた。



まさにその通りだ。
不動に…恋人ではない男に犯された身体を鬼道が受け入れてくれるわけない。



絶望だった。

唯一の希望もこの男のせいで失ってしまった。


許せない


しかし今の佐久間に人を憎む気力など残っていない。今はただ従順になることで逃げ道を作るしかなかった。


「お前は変わったんだろ?」


不動の言葉に佐久間は静かに頷く。


そう、自分は変わった。自分は帝国の参謀で鬼道の恋人の佐久間次郎じゃない。


そう思い込むことが唯一できる現実逃避。


佐久間はプライドが高かった。
それは形だけのものではなく、彼は常に自分自身のプライドに匹敵するような振舞い、行動、努力を怠らなかった。

そしてその気高く凛とした姿が鬼道を魅了したのであった。

そんな彼が自分がこんな男に犯されたなんて認められるはずもなく、人格を捨てる事で己を保つ。

不動はそんな彼の気持ちを知っていた。
だから彼が反抗するときは、決まって鬼道のことや彼の経歴を口にする。
すると佐久間は聞きたくないと懇願するからそこで大人しくしろと命令。
そうなると佐久間はどんな命令にも従った。

屈辱的な体勢にされようが脚を開かれようが何も言えない。
舐めろと命令されれば跪いて素直に不動自身を口に含んだ。






それは完全なる服従。


不動は自分の思い通りになるように佐久間を調教した。


もう今では何度身体を重ねたか分からないが、今佐久間は決して抵抗しない。




何故ここまで完璧に不動は佐久間の意志を折れたのか。

それは佐久間が不動に弱味をみせたから。

佐久間が反抗し続けられた強い意志を持てたの最大の理由は鬼道の存在。

だがそれは彼の弱味にもなっていた。

不動はそれを見抜いた。

だから彼の人格を潰し、絶対服従の関係を築き上げることができた。

しかし不動は彼を犯すのはやめない。


佐久間が服従しても性欲処理の仕事は終わらないのである。


何より彼が気の毒なのは主人が最低なサド気質なこと。


大人しくしていても痛みが残るようにされる。

それでも彼は何も言わない。




「…暇なら相手しろよ」


不動は情事の後始末もせず身体を投げ出している佐久間を組み敷いた。







ただ服従させたいだけ


ただ性欲処理をするだけ


ただ総帥に命令されただけ



もっともな理由をこじつけて、己が下で荒い呼吸をしている彼に依存している事を不動は認められないでいた。










prev