ログ2011〜2013 | ナノ







ライオコット島に飛び立ったあの日、俺は佐久間に自分の想いを告げた。



「もう一度やり直さないか?」




かつて俺が帝国学園にいた頃、俺と佐久間は付き合っていたが俺が雷門に行ったせいで自然消滅してしまった。


真帝国はあんな事になってしまったし、寄りを戻したいなんて言う機会が全くなかった。


それでも今回佐久間も代表に選ばれたのを切っ掛けに気持ちを伝える事ができ、佐久間は俺の告白を聞いて、静かに頷いてくれた。


これで全て解決だ。
佐久間とも付き合えるようになったし悩みはない




――――はずだった。





「はぁ…」



思わず溜め息が出た。


すると



「鬼道ちゃんも溜め息とか吐くんだな」


「!!不動、いつからそこに」


「いつからって……さっき言っただろ、練習の後付き合えって」


「あ…」


思い出した。不動と練習しようと思って待っていたんだった。


「忘れてた」


「おいおい、しっかりしてくれよ」


「…ちょっと考え事をしていてな」


「佐久間の事だろ?」


「……あぁ」


「恋愛事で悩むなんておめでたいことで」


「違っ!俺はチームメイトであったあいつが――」


「恋人だった佐久間のことだろ?」


そこまで言われて俺は言葉を詰まらせた。


何で知ってるんだ…


「…今は寄りも戻っている」



「じゃあ心配することねぇだろうが。勝手に仲良くやってろよ」


「…不安なんだ。また俺があいつを傷付けてすれ違うのが」


「そんな事言ってたら付き合えねぇだろ」


「それは分かってる…不動、俺はどうすればいいんだ?」


「んな事俺に聞くな」


「………」


「……」


「………」


「……あぁっうぜぇぇ!ったくうじうじしやがって、お前はどうしたいんだよ!!」


「どうしたいって、昔みたいに佐久間と付き合いたい」


「じゃあそう言えよ、面倒くせぇなお前は」


「悪い…」


「これじゃ練習にならねぇ…俺は帰る」


「不動…」




申し訳ないとは思う。だがあまり参考にならない彼のアドバイスは更に俺を悩ませた。


正直に言えばいいということなのだろうか。






もし良ければ一緒に練習しないか?



アルゼンチン戦を控えたある日の朝、俺は佐久間を練習に誘った。


嬉しい事に佐久間の答えはYESだ。






「「ツインブースト!!」」



久々に帝国の技が決まると俺たちは思わずハイタッチをしてしまった。
懐かしい、俺と佐久間の技。
一年生の二学期に初めて自分たちで開発した技であり、これが完成した日に俺たちは付き合い始めた。



「相変わらずこれはいつやっても上手くいくんだな」


「当たり前だろ?俺たちの技なんだから」


佐久間はそう言って得意気に笑ってみせた。


『俺たちの技』か…

それだけで嬉しくなる




「でも、これは世界大会用じゃないからな……新しい必殺技が欲しい…」


できればペンギン技がいいなんて言っている佐久間に思わず笑みが溢れた。



「何笑ってんだよ」


「…いや、佐久間、お前はよく頑張ったよ。本当に強くなったな」


「はぁ?」


プレイもそうだしメンタル的な面もそう。
今の佐久間は生き生きとしていてとても綺麗だ。


「どうしたんだよ急に……俺はまだまだだ。鬼道のようにはなれない」


さっきまでの笑顔がなくなり、しゅんとしてしまう。

俺はそんな佐久間の頭を優しく撫でてやった。


「いいか佐久間。俺とお前は違う。それはお前にしかできないことがあるということだ」


「俺にしかできない事?」


「ああ。お前の発想力には毎回驚かされたよ。俺にはお前の視点からの考えが必要なんだ」


「鬼道…」


「それに――」


周りに人がいない事を確認すると俺は佐久間をそっと抱き締めた。


「俺自身がお前を欲している。以前のように…いや、以前以上にお前と一緒にいたい」


ゆっくりと体を離すと佐久間は頬を真っ赤に染めていた。


「お、俺もお前が…好きだから…その…一緒にいたい――」


そこまで聞いて理性の切れた俺は佐久間にキスをしていた。


久しぶりのキスは照れ臭いような恥ずかしいような、それでいて温かい。




唇を離して俺はもう一度佐久間を抱き締めた。




今度は離さないように
傷付けないように
ずっとそばにいるからな




「お前の実力を期待してるぞ。これで必殺技も完成しそうだ」


「?必殺技ってなんだ?」


「じゃあそろそろ行くか」


「おい、話を逸らすなよ」


「今日も練習頑張るか」


「鬼道ー…」




拗ねた顔もやっぱり可愛い。
こんな表情をみせられるとからかうのをやめられなくなりそうだ。

それでも俺は確信している。

佐久間なら俺と不動が開発中の必殺技を完成させてくれると


あいつは俺達には見えない死角が見えている


だからこそそれを見抜く眼を持っている佐久間が必要なんだ



「鬼道、必殺技ってなんだよ、早く教えろよ」


「佐久間」


「ん?」


「好きだ」


「!!!!!!」


あぁ、本当にこいつは可愛いな


これからも
俺の参謀として
俺の恋人として



ずっと一緒にいたい



END


100キリリクでめいこ様リクエストでした。
なんか書いていたら鬼佐久がラブラブになってしまいましたすみません。
この度はリクエストをありがとうございました。これからもよろしくお願いします。







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