05
『奏、行こ。
 お昼は私が作るから』

ホームルームも終わり、クラスの人は次々と帰っていく。
私は奏の元に歩いていく。

「いいの?」

『もちろん』

「勿論、紗雪へのお土産も忘れずにね」

分かってるって、忘れてないって。



◇◆◇


『ただいま、おじいちゃん。
 帰ってきたよ』

「お邪魔します」

「由羅のおーじいちゃん、おじゃましまーす」

趣のある日本家屋の玄関に私たちは立っている。

さっきまで、いなかった私たちの前には
足音一つもせずに私のおじいちゃんが立っていた。

ここには私のおじいちゃんしか住んでいない。
それでも元気みたい。

「由羅お帰り、奏もようこそ」

『ただいま、おじいちゃん。
 あのね奏と同じ学校になったの。
 制服だよ、ほら』

楽しくて見せびらかすが、おじいちゃんは冷静に

「奏が困っているじゃないか。
 早く上がりなさい」

私は奏の方を見ると、手をあわあわと振り回している奏がいる。

『そうだね。
 ゴメン、いこっか』

おじいちゃんと奏を客間に待たせておいて、私は台所で昼食と紗雪へのお土産を作ることにした。

「由羅の本領発揮ー!
 何作るの?」

『お土産はクッキーで、昼食は簡単にチャーハンと野菜スープにするつもり』

「おー、楽しみ楽しみ。
 必要なものあったら言って、取ってくるから」

『プラグインだけどね』

対象物を私の手に持ってくる機能をもつプラグイン。
日常生活にも使いやすいから結構役立つけど、戦闘ではあんまり使いにくいけれど。


『よし、できた』

「美味しそうー」

『クッキーはまだオーブンの中だけどね』

「それでもいいじゃん。
 行こ、由羅」

三人分の皿をお盆に載せて歩いていく。
中庭に続く廊下、私は足音、気配さえ消して歩いている。

家では無意識の内にそうなってしまう。
多分、おじいちゃんの厳しい練習のせいだと思う。

駄目…思い出すだけで半泣きになった気がする…
茶の間の襖の前について、肘を上手く使って開ける。
半分は私で、もう半分はおじいちゃんだった。

『「お昼食べよ!」』

私は笑顔で皿を並べだし、三人そろって少し遅めの昼食を食べ始めた。

 

 

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bkm
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