02
「由羅、おはよー!」
ふわふわ私の周りを回りながら挨拶してくる。
『うん、おはよう深弥』
「えへへ…はりきっちゃった」
…深弥は洛芦和高校の制服を既に着ていた。ちゃっかり、改造済みで…
張り切りすぎだね…
『でも、まぁ、学校行くまではまだ時間掛かるからね』
「早く行かないとダメでしょ」
『そうだね。
自転車の馬鹿』
「でも、しかたないよ、あれは…」
パンクしてても無理矢理乗ったせいで、更に酷くなった私の自転車を思い出した。
『でも、今日の昼には引き取りに行くんだから。
あ、深弥まってて、準備してくるから』
「ほーい」
『ごめん、準備完了だよ。
行こう、深弥。
早く行かないと、間に合わないから!』
「分かってるよ」
私は走りながら出ていく。
「あ…智くんだ!」
「由羅!?
お、おはよう」
慌ててる…
深弥に驚いたんだろうな。
操緒ちゃんも智春くんに色々話しこんでるみたい。
ここは気付いてない振りして行こう。
『早くしないと遅刻するよ』
「あ、うん」
怪しい笑いをしながら私の後に着いていく深弥。
「操緒と一緒なのか?」
「確か、深弥ちゃんだよね。
あのこ」
「たぶん…」横にいる智春くんは、小声で操緒ちゃんと話し合い決行中の模様。
「久々なんだよ!
トモくん、サオちゃん」
深弥の演技上手いな、昔はよく私も騙されてたし…
私は私で深弥に気づいてない振りしないといけない。
はあ…
朝から疲れる事はするべきじゃ無い…
『智春くん、早くしないと遅れるよ?
入学式早々に遅れるのは、さすがにだし…』
「そうだよな」
立ち止まっていた智春くんは、少し先に行っていた私の方へ急いで来た。